「余力を残している」「経験値が違う」高校No.1ストライカー、西川潤の凄みを対戦相手の京都橘はどう感じたか?

2019年07月31日 松尾祐希

京都橘FW西野は「最後に決める部分。そこはすごく差を感じました」

2試合連続のアディショナルタイムでの決勝点で桐光学園を決勝に導いた西川。昨年の雪辱を晴らせるか。写真:松尾祐希

[インターハイ準決勝] 桐光学園1−0京都橘/7月31日/黄金森公園陸上競技場
 
 最後はやっぱり10番だった。
 
「率直な心境はホッとしている。チームメイトがゴール前で守ってくれたから最後に得点を取れた」
 
"まさにエースの仕事"。高校No.1アタッカーと称される西川潤(3年)のゴールは、そう呼ぶに相応しい一撃だった。
 
 7月31日に行なわれた全国高校総体(インターハイ)の準決勝。桐光学園は京都橘を1−0で下し、2年連続でファイナル進出を決めた。
 
 この日の西川は序盤から決定機を決め切れずに苦しんだ。ペナルティエリア内でボールを受けても、得意の左を封じられ、利き足とは逆の右足でシュートを打たされる場面が目立った。何度か左足を振り抜いたが、ゴールを射抜くことはできずに時間だけが経過していく。それでも、西川にはゴールに対する抜群の嗅覚があった。
 
 スコアレスで迎えた後半アディショナルタイムの6分。桐光学園は最後の気力を振り絞り、攻勢に出た。左ウイングバックの佐々木ムライヨセフ(3年)が局面を打開すると、左サイドから中へと切れ込む。シュートを試みようとしたが、DFに行く手を阻まれてしまう。だが、ギリギリのところでボールを繋いだ。これに合わせたのが西川だった。ペナルティエリア内の深い位置に敢えて入らず、少し引いた位置でボールを要求する。
 
「中学時代からこういう形のゴールが多かった。感覚というか、あそこにいればゴールに入るというのがあったんです」
 
 他の選手であれば、もっとゴールに近い場所へ入ってもおかしくない。だが、そこで状況を冷静に見極め、絶妙なポジショニングでボールを呼び込んだのは流石の一言。あとは決めるだけだった。
 
 試合後、安堵の表情を浮かべた西川潤。本人は普段通りのプレーで結果を残したが、対戦相手の指揮官や選手たちからすれば、ゴール前のセンスがケタ違いだったという。
 
「決め切る。そのところの役者では西川に勝てない。余力を残していますね。良い意味でサボってますもん。やっぱりストライカーですよ。最後にゴールを決める仕事をすれば、いいんですから。U-20ワールドカップなどで世界と戦ったので、経験値が違う。ここで決めればOKというのが分かってる。うちの西野(太陽・2年)は差を感じたと思いますよ」(米澤一成監督)
 
「自分は裏への抜け出しなどは優っていると思っていたけど、西川君は来るべきところにいるというか、最後に決める部分。そこはすごく差を感じました」(西野)
 

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