「1週間前ならF・マリノスに残る決断を」そう心境を語った飯倉大樹の真意は?

2019年07月29日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「今回のことで、自分で自分を肯定できた」

シティ戦後にゴール裏のファン・サポーターに挨拶。「みなさんが大好きで、チームメイトが大好きで、本当に感謝しかありません。今まで本当にありがとうございました」。写真:田中研治

 すでに移籍が発表され、別れを告げようとしている選手のコメントとしては、ある意味、予想外だった。神戸への移籍前のラストマッチ、7月27日のマンチェスター・シティとの親善マッチ後、ゴール裏に集まったファン・サポーターに向けた挨拶で、マイクを握った飯倉大樹はこう言った。
 
「1週間前に戻っていたら、F・マリノスに残っている決断をしたかもしれない」
 
 育成組織から育った横浜には「自分の人生が詰まっている」。そんなクラブを離れることに、まだ未練があるのか――件のコメントについて次のように説明する。
 
「移籍が決まるまで、本当にスピーディだったけど、その間に、人の温かさというか、みんなの想いがすごく伝わってきた」
 
 神戸からのオファーが届くと「10人から20人ぐらいには相談した」。そして「お前はまだピッチに立つべきだ」と言われたという。
 
「自分はF・マリノスで、まっすぐ生きてきて、それをみんなが理解してくれていたのかなって。みんなの温かさ、かけてくれた言葉、行動って、自分がここで正しいことをしていなければ、それらはなかったはず。今回のことで、自分で自分を肯定することができた。
 
 ファンやサポーターの方もいろいろと言ってくれた。ここで必要とされていたというか、自分のやってきたことは間違ってはいなかったんだなって、この別れ際に答として返ってきた時、やっぱりF・マリノスにいたいなと思った。だから、1週間前に今のこの気持ちだったら、たぶん俺は行けてないんじゃないかと思う」
 
 クラブのあるスタッフが嬉しそうに言う。「F・マリノスのことを好きでいてくれる選手はたくさんいるけど、その感情をあれほどオープンに表現するのは、大樹ぐらいじゃない」と。
 
 自分が下した決断に、寂しさがないといったら嘘になる。しかし、飯倉は神戸への完全移籍に「後悔はない」ときっぱりと断言する。

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