川崎戦で必見! チェルシーの指揮官ランパードの“秘蔵っ子”メイソン・マウントとは何者か?

2019年07月19日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

来日の前日に5年契約を交わした逸材MF

一見華奢に見えるがマウント(左)だが、前日練習では激しい競り合いでも当たり負けしないボディバランスの良さを見せた。 写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

「私は今のチームに満足している。ある意味で補強ができないというのは、良いことなのかもしれないね」

 そう雄弁に語ったのは、今月4日にチェルシーの新指揮官となったフランク・ランパードだ。19日に行なわれる川崎フロンターレ戦に向けた記者会見の場で、チームの現状を問われてのセリフだ。

 チェルシーは、今まさに過渡期にある。昨夏にナポリから引き抜いたイタリア人監督のマウリツィオ・サッリはユベントスの指揮官に就任し、政権交代を余儀なくされた。加えて、チームは国際サッカー連盟(FIFA)による補強禁止処分を受けたため、今夏は補強ができない(※控訴結果によっては今冬も禁止)状況に置かれている。

 2003年にロマン・アブラモビッチがクラブを買収してオーナーになってから、その財力をバックにプレミアリーグの覇権争いを引っ張ってきたチェルシーにとって、この状況は、まさに苦境と言えるだろう。

 それでも、新監督となったランパードが語ったように、若手の起用が奏功する可能性も考えられる。実際、将来有望な若手が頭角を現わしつつある。その筆頭格とも言えるのが、イングランドの年代別代表への招集経験もあるMFのメイソン・マウントだ。

 6歳からチェルシーのアカデミーに入団し、才能をメキメキと伸ばしていったマウントは、2017年に18歳という若さでトップチームに昇格。しかし、毎年のように中盤に一線級が加入するブルースに居場所はなく、すぐにオランダのフィテッセへ武者修行に出された。

 だが、ここでその才能が開花する。事実上のプロ1年目となった2017-18シーズンにエールディビジで32試合に出場して14得点・9アシストと強烈なインパクトを残したのだ。

 そしてチェルシーに舞い戻った昨シーズンは、国内のクラブにレンタルへと出される。行先はダービー。そう、"監督1年生"だったランパードが才能を評価していたのだ。

 イングランド中部の古豪で偉大なる先達の教えを受けたマウントは、ここでも主力として公式戦44試合で11得点・6アシストと目覚ましい活躍を見せたのである。

 セントラルMFが主戦場としながら、多彩なキックと正確なボールコントロール、積極果敢な飛び出しで攻撃にアクセントをつける。まさに現役時代のランパードを彷彿とさせるプレーが真骨頂。そんな"ランパード2世"と、クラブは今月15日に2024年6月までの5年契約を結んだ。アカデミー育ちの若手を他クラブへレンタルしたまま、結局は放出してしまう傾向が強いチェルシーにおいて、弱冠20歳の若武者と長期契約を結ぶのは、異例とも言える決断だった。

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