「まだ夢は捨てていない」コパ準優勝のペルー代表入りを狙う31歳“海外組”Jリーガーの心意気

2019年07月09日 大島和人

13歳で家族とともに来日。日本サッカーに慣れ親しんで成長

コパ・アメリカは来年も開催される。その時、ロメロ・フランクの名はペルー代表のスカッドにあるだろうか。(C) Getty Images

 7月7日(日本時間8日未明)に行なわれたコパ・アメリカの決勝で、ペルーはブラジルに1-3で敗れた。しかし36年ぶりだったロシア・ワールドカップ出場、そしてコパ準優勝と、ペルーはその存在感を世界に示している。
 
 Jリーグにもペルー代表入りを目指してプレーしている選手がいる。それはFC町田ゼルビアのロメロ・フランクだ。彼は1987年8月19日にペルーで生まれた日系ペルー人で、13歳で家族とともに来日。サッカー的には日本育ちで、この国で家族も持っているが、ペルー人として母国への思いは強い。

 
 今季の彼は町田へ移籍して2シーズン目で、シーズン前には第一子誕生の慶事もあった。ピッチ内ではチームによりフィットし、攻撃面の貢献が大きい。
 
 177センチ・77キロの彼は、逞しさと上手さを兼ね備えている。ボランチの位置から前線に出ていけるのが持ち味で、今季はすでに4得点を記録している。
 
 5月19日の京都サンガ戦と同26日の岐阜戦で連続得点を決めた。また、6月29日のジェフ千葉戦では芸術的な"ダイレクトループシュート"を決め、それがDAZN週間スーパーゴールに選出された。エリア内で3人抜きを決めた岐阜戦、アイデアと技巧を見せた千葉戦と「印象に残る得点」を決めているのも彼の凄みだろう。
 
 しかし7月7日のレノファ山口戦では攻め上がりが封じられ、チームも0-3と完敗を喫した。町田の攻撃的ボランチは悔しい一戦をこう振り返る。
 
「相手の勢いがすごくて、それにやられた感じです。セカンドボールを上手く拾えなかったので、相手の流れが長かった。個人的にはボールを受けるところが、いつもゴール前じゃなかった」
 
 ロメロがゴールの近くでボールに絡むことは、彼の持ち味を引き出す条件。そのためには町田が相手の守備組織が崩れるような「良い攻撃の終わり方」をして、セカンドボールを高い位置で取れる状態を作らなければいけない。
 
 ロメロは説明する。
「良い時は前が収めて自分が飛び出したり、3人目の動きで(スペースに)出られたりする。今日はそういうところが出せなかった。FWのプレッシャーを受ける前に相手がシンプルに蹴っていたし、そこのセカンドボールを町田が上手く拾えなかった。自分とマサ(奥山政幸)が、もう少し距離感を修正しないといけない」
 
 山口は前後左右にコンパクトなオーガナイズを作り、球際の反応と強度で上回った。それはどのチームもやっている"町田対策"だが、山口はさらに奪ったあとのサイドへの展開も鋭く、町田のタイトなDFを難しくした。ロメロへの警戒も厳しかった。
 

次ページロメロは母国で今なお「海外組」の一員として扱われる

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