久保建英の“代役”にあらず! 左サイドで輝きを増す韓国代表MF、ナ・サンホの凄み

2019年07月08日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

積極果敢に、巨大な水たまりをも制した!?

G大阪戦で圧倒的な技巧を披露したナ・サンホ。今後ますます存在感を高めていきそうだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ第18節]FC東京 3-1 G大阪/7月7日/味スタ
 
 大雨が降りしきるなか、首位・FC東京が好調・ガンバ大阪を返り討ちにした。
 
 3-1快勝劇の立役者となったのは、2得点・1アシストの永井謙佑であり、決定的な3点目を奪ったディエゴ・オリヴェイラだろう。だが、殊勲者の永井が「すべて彼のおかげ」と感謝の意を示したのは、左サイドに入った韓国代表MFナ・サンホ。記録上は1アシストながら、実は全得点に絡んでいた。
 
 38分、左サイドでG大阪DFを鋭いターンで振り切ってゴールライン際までえぐり、中央へグラウンダーのパスを送る。これは相手DF三浦弦太に当たってしまったが、こぼれ球を永井がすかさずダイレクトボレーで叩いて同点弾とした。圧巻だったのは2分後のスーパークロスだ。同じく左サイドで持ち出し、狙いを定めて右足を一閃。まさにデイビッド・ベッカムばりの高精度クロスで永井の豪快ヘッダーに繋げ、チームを逆転へと導いた。
 
 そして60分、D・オリヴェイラの3点目でも名黒子ぶりを示す。エリア内に侵攻した永井が中央へマイナスのクロスを送った際、ナ・サンホはニアに走り込んでマーカーの注意をそらしていた。ぽっかり空いたスペースで、フリーのブラジル人FWが完璧なフィニッシュを繰り出したのだ。

 
 22歳の若武者は、「試合前から、絶対にこの試合に勝つぞとみんな気合が入っていた。だから自分のアシストで逆転できて本当に嬉しい」とニッコリ笑い、こう続けた。
 
「試合が始まってから押され気味の展開で、そのまま失点してしまった。どこかで同点ゴールを奪わなければならない。じゃあ自分が果敢に仕掛けてみようと決心して、それがあの同点ゴールに繋がるプレーになった。僕のサイドにはすごく大きな水たまりがあって、慣れるまでドリブルでうまく踏み込めなかったんですけど、思い切り攻めてやろうと割り切ったのが良かったのかもしれない。アシストですか? 前のチーム(Kリーグの光州)ではキッカーを任されていたんです。自信はありました」

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