香川真司 無傷の4連勝でCLベスト16へ 意義深いガラタサライ戦の勝利

2014年11月05日 田嶋コウスケ

「少しこねるというか、ボールを回す時間が多すぎた」

国内では苦戦を続けるドルトムントだが、CLでは無傷の4連勝でベスト16へ。ガラタサライ戦は雑音をかき消すような勝利だった。 (C) Getty Images

「試合の内容を見たら、もっと攻撃で積み重ねないといけないところがあったり、単純にミスが多かったりはしました。ただグループステージを通して戦わないといけない。ほぼ(突破が)決まりかけていた状況で、精神面などうまくコントロールして戦えたんじゃないかなと。もちろん、修正しなければいけないところはたくさんありますけど、そういう試合もあるんじゃないかなと思います」
 
 ドルトムントは、11月4日のチャンピオンズ・リーグ(CL)でガラタサライに4-1で完勝。無傷の4連勝で決勝トーナメント進出を果たしたとはいえ、実際は香川真司が語るようにスコアほど圧倒的な内容ではなかった。しかし「そういう試合もある」(香川)との言葉通り、長いシーズンのなかではパフォーマンスが芳しくなくても、結果をつかむことが重要な試合もある。とくに、国内リーグで5連敗中のいまのドルトムントにとって、このガラタサライ戦はまさにそういう試合で、なにより勝利したことに価値がある。
 
 3日前のバイエルン戦で奇襲的に採用した4-3-1-2から、本来の4-2-3-1に戻したドルトムントは、序盤からポゼッションで攻勢。トップ下に入った香川も積極的にパス回しに絡む。ところが、どうもチームの歯車が噛み合わない。
 
 12分には香川がスルーパスを入れるもマルコ・ロイスと呼吸が合わず、22分は1トップのピエール=エメリク・オーバメヤンを狙ったパスが通らない。背番号7も思わず天を仰いだ。
 
 シーズン序盤から怪我人が続出したうえ、9月から3、4日おきのハイペースで試合をこなし、疲労が蓄積してきたのか。全体的にプレーのテンポが遅く、1、2タッチのパス交換も少ない。連動性のある攻撃を奏でることができず、結局、前半はロイスの突破力やオーバメヤンのスピードなど個の力ばかりが目についた。
 
 38分にロイスのゴールで先制するも、前半の枠内シュートはその1本のみ。守備を固めるガラタサライに手を焼いたことは事実だが、そのトルコの雄も取り立てて出来が良かったわけではなく、彼らに球際での激しさやカウンターの鋭さはなかった。
「少しこねるというか、ボールを回す時間が多すぎた。ゴール前に仕掛けるパスや、そのタイミングは課題」と、香川も前半について反省を口にした。
 
 そんな状況のなか、香川自身は精力的に動いて攻撃を活性化しようと努めていた。全体的に動きの重いドルトムントのなかで運動量を維持。スペースに走り込んでスルーパスを引き出そうとしたり、シンプルにパスをはたいて攻撃にリズムを生み出そうとしたが、周囲と連携・連動して攻めるのが持ち味だけに、彼の良さは影を潜めた。前半の見せ場は、ヘンリク・ムヒタリアンのヒールパスから右足のアウトサイドで狙った33分のシュートくらい。「引かれた相手に対して苦労している」という継続課題に、香川もチームも解答を見出せていないようだった。

次ページメディアを黙らせる意味でも大きな1勝。

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