【証言構成】現役日本代表が語る「久保評」

2019年06月29日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

久保の凄さを“DF目線”で分かりやすく説明してくれたのが…

A代表の試合でも確かな存在感を示す久保。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 ボールを持てば何かやってくれそう──。今季のJ1リーグ、さらにエルサルバドル代表とのキリンチャレンジカップ(親善試合)、さらにコパ・アメリカのエクアドル戦で感じたことをひと言で表現するなら、こうなる。とにかく見ていて楽しいアタッカー、それが久保建英なのだ。
 
 久保の凄さを"DF目線"で分かりやすく説明してくれたのが、現日本代表で32歳の長友佑都である。
 
「なんていうか、ドラえもんみたい。引き出しが多すぎて、何を出すか分からない。本当に読めないよね。左利きの選手(久保はレフティ)って、止めやすいんですよ、僕は。左足でのクロスやカットインとか、外から中に仕掛けてくる相手には対応しやすい。でも、(久保)建英の場合は縦にも行ける持ち方をするので、中だけを切れない。あの持ち方は本当に。凄い才能ですよ」
 
 中にも縦にも行ける、言い換えればプレーの選択肢が豊富ということになる。対峙するDFからすれば、次の一手が読みにくいわけで「めちゃくちゃ嫌なタイプ」(長友)だ。
 
「ドリブルだけならいいけど、建英はパスもある。そのパスも視野的にゴールへとつながるところに出すから怖い。(飛び込もうにも)ボールが(久保の)真下にあるからね。その状態でキュンと緩急をつけたり、ボールを動かしたりするので(DFからすれば)厄介ですよ。緩急に加え、スピードもあって、ここにきてフィジカル的な部分も伸びてきた。久しぶりに化け物が出てきたって感じです」
 
 無暗に突っ込んだら簡単にかわされる。そういうイメージがあるから、長友にとって久保は「厄介」なのだろう。事実、長友はこの18歳のアタッカーを「最悪のプレーヤー」と評す。
 
「ドリブル一辺倒の選手だったらやりやすいですよ。そういう選手なら自分の間合いで勝負できる自信があって、絶対にやられない。ただ、建英みたいな選手は……。常に味方と"つながっている"からマークするのが難しい。中にいる味方へのパスコースを切ると、それを察知して縦に仕掛けられたり、縦を切ったら、今度は違うスペースを使われる。それって、最悪でしょ。相手からすれば、(久保は)最悪のプレーヤーですよ」

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