強豪ウルグアイに健闘した森保ジャパン。大敗したチリ戦とは何が違ったのか?【小宮良之の日本サッカー兵法書】

2019年06月23日 小宮良之

チリ戦から可能性を示していた

強豪ウルグアイに真っ向勝負を挑んだ日本。その戦いぶりは称賛に値する。(C)Getty Images

 コパ・アメリカ第2戦で、日本は強豪ウルグアイに2-2で引き分けている。敵地に等しい場所での戦いだった。快挙、とは言えないまでも、健闘、であることは間違いないだろう。

 しかし、森保JAPANは初戦で可能性をすでに示していた。

 前回のコラムで書いたように、チリ戦も悲観する内容ではなかった。0-4で敗れただけに決してポジティブな結果ではない。しかしながら、チームとして幾度も決定機を創出しており、それは悪くない兆候だった。戦いのデザインは明瞭に見えていた。

<決定力>

 二つの試合の間にあるものは、分かりやすく言えば、それだけだろう。

 ウルグアイ戦、日本は先発に抜擢された攻撃的MF三好康児が、2本のシュートを確実に決めている。1点目は、マーカーが直前に足を痛めていたことで追走できない幸運もあったか。2点目は、チームとして崩した展開からだった。一方のウルグアイは29本ものシュートを打ち、10本は枠内であったにもかかわらず、2点に止まっている。最後は城門まで殺到し、砦を陥落寸前まで追い込んだが、仕上げられなかった。
 
 チリ戦、日本はFWの上田綺世が好機を外し続けている。久保建英の渾身の左足シュートも枠に飛ばなかった。一方のチリはセットプレーやカウンターなど、チャンスを確実にものにした。

 スコアは大きく違うが、試合の流れそのものは大きく違わない。

 チリ戦のほうが、日本はむしろ優勢の時間帯が長かったと言えるだろう。前半30分まで、後半も2失点目を喫した後はアドバンテージを取っている。決めきれずに失点を喫したことで、万事休すだった。

 日本の選手たちは、戦いの中でポテンシャルを示している。

 例えば、チリ戦でFWの一角に抜擢された上田は、たしかに決定力には難があった。一つでもチャンスを仕留められていれば、戦局は大きく変わっていただろう。その点、戦犯とも言える。

 しかし、FWとしての素質は存分に見せている。とにかく動き出しが良く、ポジショニングも質が高い。出し手との関係性が自然で、無理なくパスを受けられる。戦術的センスがあるのだろう。ボランチの柴崎岳との呼吸はぴたりと合っていた。

 また、1対1でボールを隠し、ディフェンダーのファウルを受けてFKを得るなど、ディテールでの巧みさも見せている。プレースタイルは、元日本代表の柳沢敦に近いだろうか。
 

次ページ物足りない選手がいるのは否めないが…

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事