「やる気も見えない」「まるで何もなかった!」イングランド戦のなでしこにフランスでは批判が集中。ただひとり、評価を高めたのは…【現地発】

2019年06月23日 結城麻里

「やる気が見えない」と批判、失望…。

途中投入された菅澤。限られた時間でチャンスを創出したが…。 (C) REUTERS/AFLO

 女子ワールドカップは23日から決勝トーナメントが始まったが、グループリーグ最終戦でイングランドに2-0で敗れた「なでしこジャパン」には、開催国フランスのアナリストたちから、強烈なパンチが次々に飛び出す事態となってしまった。
 
 19日のグループリーグ第3戦、下馬評では「強豪対決」「見もの」と期待されていた。だからこそ、フランスでの試合中継はゴールデンタイムの21時からで、中継局もこれまでの『Canal+Sport』より一段ランクの高い『Canal+』だった。だが早い段階から展開は消化試合の様相を呈したため、批判されてしまった。

 解説を担当したのは、知日家ではなさそうなジェシカ・ウアラ=ドゥモーさん。冒頭から「彼女たちはテクニックとタクティックがすごくいいそうですが、驚くほどアスリート能力に欠けていますね。パワーがほとんどなく、スピードさえあまりないです」と失望を滲ませていた。

 ハーフタイムのスタジオ討論では、「女子フットボールの歴史的大国である日本は、ステータスを引き受けていないし、そもそもやる気も見えない。明らかに東京オリンピックに向けて準備していて、それが見え見えだ!」と強烈な批判すら飛び出したのだ。

 とはいえ、終盤にいくつかのシュートシーンが出た際は、さすがに賛辞も出た。

 78分に交代出場した菅澤優衣香が、胸トラップからシュートに持ち込むと、ドゥモーさんが「さっきのシュートよりはいいですが、ポジショニングがうまくできなかったですね」と語った。だが、82分に再び菅澤が右足を伸ばしてゴール枠をとらえそうになると、「いい選手です、素晴らしい選手です」とついに高評価が与えられ、男子の実況でも知られるステファン・ギーも「彼女を先発にして試合をスタートした方がよかったのになあ」と微笑んだ。

 だがその喜びもつかの間、ドゥモーさんの憂いは続いた。85分の岩渕真奈のシュートにも「コントロールはよかったのですが、枠内をとらえられませんねえ」と嘆息。「日本の世代交代はまだ全然できていません」、「スペクタクルが見られると期待していたのに、まるっきり…」と失望感を露わにした。

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