ポケサカリニューアルスペシャルコラム「個性が導く可能性」

2019年06月14日 河治良幸

新機能「スタイル」が導入され、選手の個性をよりリアルに再現!

80年代後半に黄金期を迎えたミラン。その原動力となった〝オランダ・トリオ〞は、たしかな個人技と戦術的インテリジェンスを兼ね備えていた (C) Getty Images

 サッカーシミュレーションゲームの中でも長年人気を博しているのが、スマートフォン向けアプリの「ポケットサッカークラブ(通称:ポケサカ)」だ。

 今年2月14日に6周年を迎え、サービス開始から7年目に突入。これまで登場した選手のキャラクターは1万人をゆうに超え、数あるサッカーゲームの中でも多くのファンを抱えるゲームアプリになっている。

 今年5月15日に実施したアップデートにより新たに追加された「スタイル機能」で、これまでポケサカが追求してきた「チームにおける戦略性」に加え、「個がチームへもたらす影響」が表現できるようになった。

 そのアップデートを記念し、5月16日発売ワールドサッカーダイジェストにて掲載されたサッカーライター・河治良幸氏によるスペシャルコラムを配信する。

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 150年以上続くフットボールの歴史の中で、これまで様々なルール改正が行なわれ、それに適応する形で戦術も進化を遂げてきた。

 最も大きな影響を与えたのが1925年のオフサイド・ルール改正だ。ロングボール一辺倒の攻撃が通用しづらくなり、より攻守のバランスが求められるようになったのだ。これをきっかけに各チームが独自の戦術プランを用い、多様な布陣が生まれるようになった。

 攻撃は、50年代前半まではポジションありきの考え方が一般的で、各選手の行動範囲は限られていた。そんな中、当時4年間無敗と驚異的な強さを誇った〝マジック・マジャール(ハンガリー代表の通称)〞によってポジションチェンジという新たな概念が打ち出され、それが一大ムーブメントとなった。その完成形が70 年代にヨハン・クライフ擁するオランダ代表が実現した〝トータルフットボール〞だ。

 守備戦術では、60年前後に最終ラインに特定のマークを持たない〝スイーパー〞が誕生。イタリア・サッカー界の代名詞となる〝カテナッチョ〞完成に繋がる重要な出来事となった。伝家の宝刀を世に知らしめたのが、82年のスペイン・ワールドカップを制した〝アッズーリ(イタリア代表の愛称)〞だった。ジーコやファルカンらを擁し〝黄金の中盤〞と謳われたブラジル代表を破ったチームには、マンツーマン・ディフェンスに長けたクラウディオ・ジェンティーレとジュゼッペ・ベルゴミ、カバーリングと統率力に優れるガエターノ・シレアがいた。

 ただ、カテナッチョは全体の守備ラインが低めに設定されるため、ボールを奪う位置がどうしても相手ゴールから遠くなり、攻撃に移行しにくいという弱点を抱えていた。そこで生まれたのがエリアを分担して守る〝ゾーンディフェンス〞の考え方。そしてその発展型が、ボールホルダーに複数の選手が群がる〝ゾーンプレス〞だ。

 80年代後半にアリーゴ・サッキが率いるミランが用いたこの戦術は、チームの黄金期とも重なり、一躍脚光を浴びた。なかでもルート・フリット、マルコ・ファン・バステン、フランク・ライカールトの〝オランダ・トリオ〞は攻守に圧巻のプレーを披露。高い位置からプレッシングに参加してボールを奪うと、素早い切り替えでカウンター攻撃の急先鋒にもなった。

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