「練習で正解は見つからない」好調の大宮で今季初出場。チーム最年長38歳GKの矜持

2019年06月09日 塚越 始

4戦連続引き分けだったチームに5試合ぶりの勝利をもたらす

今季リーグ戦初出場でチームを5試合ぶりの勝利に導いた塩田。ベテランGKが存在感を示した。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[J2リーグ17節]大宮3-1京都/6月8日(土)/NACK
 
 大宮のチーム最年長GK塩田仁史が、J2・17節の京都戦で今季リーグ初出場を果たした。5月28日に38歳の誕生日を迎えた守護神は、1失点を喫したものの3-1で上位対決を制し、4戦連続引き分けだったチームに5試合ぶりの勝利をもたらした。
 
 奥抜侃志のプロ初ゴールで1点リードしたあとの25分、仙頭啓矢の倒れ込みながらの鋭いボレーでニアを抜かれて失点。「大丈夫」と自らに言い聞かせたという。
 
「(その後は持ち直したが?)あとはメンタル」と笑い、「何よりチームメイトが助けてくれました。終盤はゴール前で身体を張って守ってくれました」と仲間への感謝を惜しまなかった。
 
 チームメイトと鼓舞し合うように、塩田も再三にわたり好セーブを連発。こうした上位決戦では、ビッグセーブの有無が勝敗を左右する要素のひとつになると改めて感じさせる、気迫のプレーで引き締め続けた(京都の清水圭介も呼応するようにファインセーブを見せていた)。
 
 すると39分に河面旺成が鮮烈なライジングショット、62分にフアンマ・デルガドが持ち味十分の相手をねじ伏せる一撃でリードを広げ、大宮が3-1の勝利を収めた。この時点で、暫定2位に浮上した。
 
 世代別を含めて日本代表の経歴が一度もない。すでに同世代のほとんどの選手が現役を退くなか、塩田はプロ16年目を迎える。
 
 試合終盤には、瞬発力のある相手に対し怯むことなく飛び出してシュートを阻んだシーンがあった。スカウティングにより各選手の情報はインプットしている。それをしっかりピッチで表現してみせたワンシーンだった。
 
 スタッフからの情報を咀嚼し、自ら考え抜きトレーニングを積んできたことをピッチ上で実践する。当たり前だが一番難しいことを、塩田はプロ生活で毎日続けてきた。いろんな意見を聞いて生かす柔軟性も、年齢など関係なく、この守護神の魅力だ。
 
 結果、この90分のなかで、チーム最年長GKは好調な京都の力を借りて、また進化を遂げていった。
 

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