【総体|石川代表】絶対王者ではなくなった星稜。二頭体制の下で模索する新たな“カタチ”

2019年06月04日 森田将義

「決断力とそれをやり切れるのが河﨑先生の凄さ」

苦しみながらもインターハイ予選で8連覇を達成した星稜。謙虚なスタンスでチーム強化に取り組む。写真:森田将義

 2014年度の選手権で日本一に導くなど、星稜を全国屈指の強豪校に育て上げた河﨑護監督が今季から総監督に就任。附属中学チームの監督として辣腕を振るった河合伸幸監督が後任を任された。今季はその移行期間と位置付けられ、二頭体制で指揮を執ることになる。
 
 河合監督が高校年代を教えるのは、同校のコーチを務めて以来、実に7年ぶり。久々に指導して気付いたのは、「思った以上にウツのほうが、個の能力が低い。鵬学園さんや金沢学院さんのほうが力はある」ということだ。
 
 指揮官の言葉は決して謙遜ではない。インターハイ(高校総体)石川予選の試合展開が如実に現在の力を示している。準決勝の鵬学園戦は、相手にペースを握られる展開で試合が進んだが、無失点に抑えてPK戦勝ち。決勝の金沢学院戦も敵のほうが決定機は多く、先制点も許したが、勝負所でしっかりゴールネットを揺らし、延長戦の末2-1で逆転勝ちを手にした。
 
 ライバル校との力関係には、これまでのような"絶対王者"と言い切れるほどの差はない。個の力で押し切れた以前とは違い、いかに相手を研究するかが重要だ。河合監督は「攻撃をどう封じるかを考えると、まず守備からという形になる。相手のストロングポイントを消していかないといけない」と話す。
 
 鵬学園戦では、相手のキーマンであるMF永田貫太(3年)とMF鈴木嶺騎(2年)にマンマークをつけることで相手の良さを抑え、苦しみながらも勝利を掴んだ。決勝戦では金沢学院の攻撃の核である1トップと2シャドーに対して、マンツーマンの守備を実施。守備が機能していないと判断すると、ボランチのひとりが最終ラインに下りて対応する次の手を打ち、追加点を与えなかった。
 
 これらの采配は、すべて河﨑総監督のアドバイスによるもので、河合監督は「勝負勘が凄い。準決勝もどの選手を誰につけるかを話していたけど、決めるのは難しい。決断力とそれをやり切れるのが河﨑先生の凄さ」と口にする。星稜のOBでザスパ草津でもプレーした敵将の北一真監督も「試合内容は良かったけど、最後の決める、守るの差が結果に繋がった。内容で勝って、試合に負けたという言葉が相応しい。河﨑先生は『ここが勝負所だぞ』というポイントを知ってらっしゃる」と続けた。

次ページ個の力が変わっても、その勝負強さは変わらない

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