「崩し方が1個もない…」“魅力”を失った浦和は立ち直れるか。優先すべきは『攻撃パターンの確立』

2019年05月28日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

4点目が決まった途端、サポーターはゾロゾロと帰り出していった

興梠は広島戦シュート1本と振るわず。チームを勝利に導けなかった。(C)SOCCER DIGEST

 浦和レッズは13節のサンフレッチェ広島戦に0-4で敗れ、リーグ4連敗を喫した。13節終了時点で、5勝2分6敗で11位と、「J1&ACLのW優勝」を掲げていた開幕前の期待を大きく裏切り、優勝レースから大きく後れを取っている。

 広島戦はまさに低迷する今季を象徴する試合だった。開始わずか6分で先制を許すと、25分にはCKから追加点を献上。その後は、気温30度を超えるなかでエネルギーの消耗を抑えながら自陣にブロックを敷く広島と、ビハインドをなんとか覆そうと攻める浦和という構図が出来上がった。
 
「そのような戦い方をすることは想定された」と、試合後にオズワルド・オリヴェイラ監督は言ったが、意志疎通が図れず陣形が間延びしていった浦和は、なかなか広島の守備を崩せず焦れていく。逆にカウンターからピンチを迎えては、失点を重ねていった。

 インサイドハーフで先発した長澤和輝のコメントからも、この日の低調ぶりが窺える。

「歯車が噛み合わなかった。最初のチャンスを決め切れれば良かったですけど、相手にやられて、そこから少し焦り出して、奪いに行く守備をしてもなかなかはまらず、相手にスペースを与えてしまって……っていうよくない循環が続いてしまった。2失点してからは、さらに焦ってしまって、逆に失点を増やしてしまった。自分たちの思うように進められなかった」
 
 思うようにゲームを運べない苛立ちを抱えていたのは選手だけではないだろう。80分に広島の4点目が決まった途端に、席を立ってゾロゾロと帰り出していった浦和サポーターもフラストレーションを抱えていたはずだ。

「立て続けにトン、トンと点を取られて、そこで声も出なくなった。選手一人ひとりが奮起して、0-2から撥ね返す力が今はない。サポーターに申し訳なく思います」と、魅力的なサッカーができず、反省する山中亮輔は、さらに嘆く。

「相手に引かれてしまうと、崩し方が1個もない。ショートカウンターでは追い越すスピードなどの違いが出ていて、北京国安戦(〇3-0)では点が取れていましたけど、相手にブロックを作られたときの崩し方が、正直1個もない。だから、先制点を取られたら撥ね返せない要因になっていると思う。その形は作っていかないといけない」

次ページ30分過ぎの興梠のプレーは停滞感を打破するヒントに

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