A代表入りも噂される上田綺世が思わぬ不振…6試合で1得点とゴールが遠い理由は?

2019年05月21日 小室功

飛ぶ鳥を落とす勢いのストライカーへのマークは厳しい

厳しいマークに苦しむ上田は、ここまで1得点と本領を発揮できずにいる。写真:小室功

 大学ナンバーワンストライカーの呼び声が高い上田綺世(法政大)の表情が冴えない。チーム浮沈のカギを握る大黒柱ながら、ここまでわずかに1得点と、思うような結果を出せずに悶々としている。
 
 不振の理由とは何か。
 
 ひとつは上田の望むようなタイミング、形で、ボールが入っていないのが主たる原因だが、かたや上田自身がボールをうまく引き出せていないという側面もある。動きの量が少なく、変化に乏しい。こうした現状を本人も真摯に受け止め、早期の課題解決に必死だ。
 
「自分のストロングポイントを生かせるようなポジションにもっと入らないといけないし、周りを助けるようなプレーもしないといけない。昨年までは先輩にいろいろお膳立てしてもらって、ガムシャラについていくだけだった。でも、今年は自分たちで積み上げていかないといけない」
 
 ゴールが遠い理由は、ほかにもある。
 
 今年2月、大学2年時にすでに鹿島入りが内定し、来年の東京オリンピックに出場するU-23日本代表のエース候補。飛ぶ鳥を落とす勢いのストライカーだけに、対戦相手にしてみたら"分断作戦"に打って出るのは、いわば当然だろう。
 

 ボールの出所への激しいプレスによって少しでもパスの精度を低下させ、同時に上田への執拗なマークを敢行。このふたつをセットにしてシュートさえも打たせないように対応できるか、どうか。それが勝負の分かれ目でもある。
 
 5月19日、関東大学リーグ6節で、法政大と対峙した明治大のゲームプランも明らかだった。前日、首位の筑波大が中央大と0-0で引き分けたことで、「首位奪取のチャンスがある。選手たちのモチベーションはすごく高かった」と語る栗田大輔監督は、次のように続けている。
 
「法政大は個々の能力が高く、組織的にも素晴らしいチーム。でも、簡単には負けたくない。やるべきことを、しっかり出し切ろうと話していた。チームが一丸となって燃えていた」
 
 それでも最初にペースをつかんだのは法政大だ。
 
 8分、空中戦の競り合いからこぼれたボールに反応した上田が強引にシュートに持ち込む。15分には自身がファウルを受けてもらったゴール前の直接FKを、上田自らが狙った。得点に至らないまでも試合の入りは悪くなかった。

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