【岩本輝雄】トリニータ快進撃のカギはオナイウの“守備ブロックを壊す”ポジショニング

2019年05月15日 岩本輝雄

片野坂監督は、寡黙なSBだったけど…

組み立てに貢献する一方、縦にも鋭く飛び出せる。オナイウは普通のシャドーとは異なるプレースタイルで、トリニータの快進撃を支えている。写真:田中研治

 昇格組のトリニータの快進撃は、まだまだ続きそうだね。敵地でのベルマーレ戦は1-0の完封勝利。前半はかなり押し込まれたけど、守護神の高木を中心に粘り強いディフェンスでゴールを許さず、後半にワンチャンスをモノにして、しっかりと勝ち切ってみせた。試合運びも貫禄があったね。
 
 片野坂監督とは、ベガルタ時代に一緒にプレーしたことがあるんだ。左サイドでコンビを組んでいたけど、余計なことはしゃべらず、寡黙に、堅実に自分のプレーをこなすSBだった。でも、指揮官としての彼は試合中、すごく"激しい"よね(笑)。大きな声で選手を鼓舞するし、アクションも大きい。現役時代のイメージと全然違くて、少し驚いた(笑)。
 
 トリニータのサッカーはとにかく攻撃的で、ポゼッションだけでなく、カウンターも鋭い。とにかく見ていて楽しいよね。選手たちからは揺るぎない自信が伝わってくるし、時には余裕さえも感じられる。プレッシャーをかけられても慌てない。誤解を恐れずに言えば、昨季はJ2にいたチームとは思えないほど、みんな堂々とプレーしているよね。
 
 3-4-2-1を基本布陣に、攻撃時は4-1-4-1になって畳みかける。そこで注目してほしいのが、シャドーのオナイウだ。後ろに下がった時のパスの受け方はセンスあるし、持ち前のスピードを武器に相手の最終ラインの背後を鋭く突き、藤本と2トップ気味になってゴールを狙いに行く。ちょっと普通のシャドーとは異なるプレースタイルで、トリニータの攻撃に絶妙なアクセントをもたらしている。
 
 あの中途半端なポジショニングは、相手のボランチやCBからすれば、実にやっかいだ。捕まえづらいというか、上手くギャップを突いたり、裏にも抜け出してくるから、マークの受け渡しにも苦労しているはず。マンツーマンでついていけば、下手にスペースを空けてしまって、そこを他の選手に侵入される場合もある。守るほうからすれば、守備ブロックを"壊される"感覚だと思う。

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