【現地発】惨敗に終わった本田圭佑の"Aリーグ最終戦"。史上最大の敗北の現場で何が起きたのか

2019年05月13日 植松久隆

ビクトリーは、得点を重ねるシドニーFCに為す術がなく敗れた

Aリーグ最終戦は、まさかの大敗。「タイトルを獲る」という"公約"は果たせなかった。(C)Getty Images

 本田圭佑のAリーグ挑戦に、誰もが思ってもいなかった形でピリオドが打たれた。
 
 正確には、22日に予定されるACL広島戦が残ってはいるが、すでに敗退が決まっている消化試合だけに、本田がその試合を欠場する可能性もある。いずれにしても、今季限りでのメルボルン・ビクトリー退団を示唆している本田のAリーグ公式戦での勇姿は、このセミファイナルでの敗戦で最後となった。今回のショッキングな敗戦は、これまで多くの有言実行を成し遂げてきた本田にとって「タイトルを獲る」という"公約"の未達の確定ともなってしまった。

 12日夜、Aリーグ随一の伝統の一戦"ビッグ・ブルー"シドニーFC対メルボルン・ビクトリーの顔合わせとなった、セミファイナルの会場は、シドニー南郊のジュビリー・スタジアム。改装中で使用できないシドニーFCの本拠地アライアンツ・スタジアムの代わりに使われた、ごく普通の街中に建つローカル感あふれるスタジアムは、バックグランドやバックスタンドの一部は芝生席で普段はどこか牧歌的な雰囲気も漂う。しかし、この日は熱心なシドニーFCサポーターを中心に1万4000人が詰めかけ、ファイナルに相応しい雰囲気が醸成された。

 Jリーグの試合開催基準を到底満たさないスタジアムでシーズンの掉尾を飾るファイナルシリーズの大事な一戦、しかも、Aリーグ屈指の好カードが行なわれるのは、まさに今のAリーグの有り様を象徴的に表しているが、このあたりは世界基準を知る本田はどう感じたろうか。
 
 それでも、このスタジアムは、ラグビーとの併用が多いこの国では他に余り無いレベルで芝がきちんと整備されていることで選手にも高い評価を受けており、その辺が代替スタジアムとして選ばれた所以だろう。そうなれば、旧知のカメラマンが教えてくれた、ピッチが緩やかながら全体的に片方のサイドに向けて沈んでいるのなどは愛嬌の内だ。
 
 さて、その試合内容はというと、6-1、言わずもがなのホームのシドニーFCの快勝。得点の経緯などの詳細は、すでに先行の記事に詳しいので、詳述は避ける。そのスコアを見ただけでわかる通り、本田とビクトリーにとっては、想定外の惨敗だ。ビクトリーは、得点を重ねるシドニーFCに為す術がなく敗れたと書いても間違いはない。

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