「戦略負け、俺の責任だ…」と漏らした反町監督。2連敗の松本に内包する危機と上昇への兆し

2019年05月07日 大枝 令

「自分たちの良さが何なのかをもう一度見つめ直さないといけない」

松本を率いる反町監督。C大阪戦の内容を反省するコメントを漏らした。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 試合直後の会見では気を張っていても、顔見知りの記者だけになる囲み取材ではポロリと本音がこぼれることもある。C大阪に0-2と完敗した翌日、松本の反町康治監督はこう漏らした。
 
「戦略負け。俺の責任だ…。神経質になりすぎて自分たちの良さをまったく出せなかった」

 
 取材を総合すると、この日の松本は前半で耐えて後半勝負――というシナリオを描いていた。そもそもJ1では一度も逆転勝ちがなく、先制されてから勝点を奪ったことさえ7節・湘南戦(1-1)が初めて。さらにC大阪は前節までの段階で、総失点8のうち6失点を76分以降に喫している。飯田真輝は「(失点を)ゼロで抑えて後半勝負というのがうちのスタイル……というか、それしかない。それを見越して前半はガマン、ということだったのかもしれない」と振り返る。
 
 だが、21分の失点であえなくプランは崩れた。ビルドアップ時に大きく開く相手のセンターバック2枚と、左右サイドバックのポジショニングに迷わされた。そもそも指揮官はC大阪が4バックで入ってくることは予想していたものの、都倉賢とブルーノメンデスの2トップを並べてくるのは想定外。最終ラインから精度の高いロングボールで逃げる先が2か所もある以上、松本の3バックは後ろ髪を引かれる。間延びして、効果的なプレスがかからない。
 
 終盤にも失点し、これで2連敗となった。松本に限らず、組織は難局に陥ると空中分解しやすいもの。だが、ただでさえ個々の能力で勝負するのが難しい松本がそうなってしまったら、待っているのは無間地獄しかない。だからこそ、選手会長でもある村山智彦は「チームとしてバラバラにならないことは絶対に必要だし、あとは自分たちの良さが何なのかをもう一度見つめ直さないといけない」と語気を強める。
 
 ただ、全くの袋小路に追い込まれたわけではない。まず後半、プレスのかけ方を修正して主導権を握ったことはプラスに捉えられる。代償として最終ラインと相手の2トップが数的同数になるリスクははらむものの、遂行すればリズムは生まれる。あとは自分たちの時間帯を増やした先にゴールが生まれるかどうか。2試合とも無得点ではあるものの、レアンドロ・ペレイラを1トップに置いて2シャドーに永井龍と杉本太郎が入る後半途中からの形は可能性を感じさせた。
 

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