過去三度はいずれも「節目」で対戦――日本代表のジャマイカ戦を振り返る

2014年10月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

初出場のワールドカップで初勝利を懸けて。

ジャマイカとの過去3試合すべてに先発出場したのは、この中田英ただひとりだ。(C) SOCCER DIGEST

 日本代表は10月10日に新潟でジャマイカと、同14日にブラジルとのテストマッチ2連戦に臨む。今回は香川真司、ハーフナー・マイクらが代表復帰を果たし、小林悠や塩谷司、鈴木大輔といった、さらなる新戦力の招集などもあって見どころは多い。9月シリーズとはまた異なる顔を見せてくれそうだ。
 
 さて、10日に対戦するジャマイカとは、日本は過去三度対戦している。戦績は、1勝1分け1敗。いずれも、日本にとってあらゆる意味で節目となる試合を、このジャマイカとは戦っている。
 
 初めての対戦は、岡田武史監督率いる日本が初出場した1998年フランス・ワールドカップのグループリーグ第3戦だ。すでにアルゼンチンとの第1戦、クロアチアとの第2戦をともに0-1で落とした日本はグループリーグ敗退が決定。ジャマイカも2連敗で敗退が決定しており、互いに消化試合として迎えた第3戦だった。
 
 しかし、この試合は単なる消化試合ではなかった。ともにワールドカップ初出場。歴史的な初勝利を賭けた一戦だったのだ。この試合のスタメンは以下の通り。
GK川口能活(横浜M)/DF井原正巳(横浜M)、秋田豊(鹿島)、小村徳男(横浜M)/MF名良橋晃(鹿島)、相馬直樹(鹿島)、山口素弘(横浜F)、名波浩(磐田)、中田英寿(平塚)/FW中山雅史(磐田)、城彰二(横浜M)
 
 試合は、序盤から日本ペースで進んだ。中盤の構成力でジャマイカを圧倒し、次々と決定機を築いていく。しかし、ここまで無得点の日本はこの試合でも決定力不足を露呈。すると、38分には相手のロングボールからピンチを迎え、ウィットモアにあっけなく先制点を許してしまう。
 
 後半に入っても、日本はいい流れを保って攻め込むものの、ゴールが遠い。そして54分にはカウンターからまたしてもウィットモア。右サイドをドリブルで駆け上がられ、最後は左足で川口のニアサイドを射抜かれた。
 
 日本にとって待望のワールドカップ初ゴールが生まれたのは、終盤の74分だった。名波からパスを受けた左サイドの相馬が、ファーサイドへ大きなクロスを入れる。これを途中出場の呂比須ワグナーがヘッドで折り返し、待っていた中山が右足でプッシュした。ちなみに中山は、このゴールから3分後には右足を骨折しているが、そんな素振りも見せずにフル出場した。
 
 79分には名波に代わって、18歳の小野伸二がワールドカップのピッチに立つ。投入直後にはジャマイカの守備陣を手玉に取る股抜きからのドリブルシュートで、豊かな才能を示した。新星の登場とともに、終盤は完全に流れを掴んだ日本。あとはいつ同点ゴールが生まれてもおかしくない展開だったが……。
 
 結局日本は1-2でジャマイカに敗れている。初めてのワールドカップは3戦全敗。岡田監督は、ジャマイカ戦後に大会を振り返ってこう述べた。
「選手は100パーセントの力を出してくれたが、勝たせてやれなかったのは私の責任。ただ、信じたやり方を100パーセントやってきた。後悔はしていません」

【日本 1-2 ジャマイカ】フランス・ワールドカップ グループリーグ第3戦

次ページカズの最後のゴールは中田英のアシストから。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事