J2山口が迎えた難局。リーグ2位の14得点を挙げても降格圏に沈む理由は?

2019年04月12日 上田真之介

守備面で顕在化してきている問題のひとつが、後ろからの声の弱さだ

2得点を挙げる工藤らを中心に攻撃面は機能しているが、一転して守備は……。写真:田中研治

 レノファ山口にとって難しい試合が続いている。得点力はリーグトップレベルで、8試合のうち7試合でゴールを挙げ、総得点14(8節終了時)はリーグ2位タイ。だが、試合終盤に追いつかれる試合が目立ち、順位表では底辺に沈む。
 
 低迷の要因がリーグワーストの18失点にあるのは明らかで、自陣でのパスミスからショートカウンターを受けたり、守備間の連係のほつれを突かれたりと自滅的な失点が目立つ。
 
「点は相変わらず取れているし、決定的なチャンスも作れている。僕らがやろうとしているサッカーはできているが、結果が出てこない、最後に追いつかれる。原因を一つひとつ潰していく地道な作業を続けていかなければいけない」
 
 霜田正浩監督は攻撃に自信を見せる一方で、守備面に横たわる課題解決にも注力。「球際のところをしっかり戦う、失ったあとすぐに奪い返しに行く。それを徹底する。サッカーのセオリー。基本中の基本だが、そういうところの精度を上げていく」とグループ戦術だけではなく、個人戦術にもアプローチする。
 

 守備面で顕在化してきている問題のひとつが、後ろからの声の弱さ。昨季までとは違い、センターバックが経験の浅い選手や外国籍選手で組む機会が多く、ベテランのDF坪井慶介が出場した試合を除けば、センターバックからチームを束ねるような声が出ていない。
 
 状況判断を得意とする選手が声の代役を担い、MF三幸秀稔が積極性を出しているほか、右SBの前貴之が前線やCBドストンに身振り手振りで指示を送っているのが実情だ。新加入のMF佐々木匠も守備に力を割き、本来の爆発的な推進力は出せないままでいる。一朝一夕にコーチングが改善されることはなく、だからといって三幸や前に任せるのも限界がある。声が少ないなら少ないなりに、個人が判断を研ぎ澄ませてミスを減らし、より献身的にハードワークする必要があろう。
 
 まさに基本に立ち返らなければならないが、改善の兆しはある。練習やミーティングで判断速度や精度は繰り返し確認。昨シーズン前半戦まで山口の主力だった小野瀬康介(現・ガンバ大阪)のように、個人の判断で攻守にハードワークする選手が出てくるようになってきた。
 

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