「あの番組ができたのはかなり大きい」山形vs.琉球戦で起きたPKジャッジ問題とGKコーチの切なる想い

2019年04月09日 頼野亜唯子

検証番組『Jリーグジャッジリプレイ』で取り上げたPKシーンに原博実副理事長は「これを取るとしたら、みんなやり直しに…」

問題のPKシーン。山形のGK櫛引は一度は止めたものの、やり直しの判定に。(C) MONTEDIO YAMAGATA

 公開中のDAZN Jリーグジャッジリプレイ#5(視聴期限5/2)で、J2リーグ5節・モンテディオ山形対FC琉球でのジャッジが取り上げられている。問題となったのは62分、琉球のPKシーンだ。鈴木孝司のキックを山形のGK櫛引政敏が見事にセーブ、かと思われたが、副審の旗が上がる。キッカーが蹴るより早くGKがゴールラインの前に出たという判定である。このファウル判定により自動的に櫛引にはイエローカードが提示され、PKは蹴り直しとなった。2度目のキックに臨んだ鈴木が今度は決め、これが琉球の先制点となった。
 
 ストップモーションで見れば、キックの瞬間に櫛引の足がラインから離れているように見える角度もある。しかし、この動き出しであればセーブが認められる場面を我々は山ほど見てきた。上述の番組内でも、原博実Jリーグ副理事長は「これを(ファウルに)取るとしたら、みんなやり直しにしないといけないのではないか」と疑問を呈した。
 
 レイモンド・オリバーJFA審判委員会副委員長もこれに賛同し、「ここで考えるべきは、フットボールが何を求めているかということ。そうなると、この場合はそのままプレーさせて良いのではと私は思います」と、競技規則を厳密に当てはめれば副審の判断は正しいとしながらも、運用面ではプレーを流すべきだったと明言した。ルールはフットボールのためにあるのであって、決してその逆ではないということだろう。
 
 最終的には山形が終了間際に追いつき、なんとか勝点1を死守した試合後、木山隆之監督は「あれをノーと言われたら、だいぶ苦しい」としながらも「我々に少し運がなかった」と言うにとどめた。櫛引自身も「前に出ないことは意識してやっていた。でも審判の判断をリスペクトするしかない。ただ、これは今までもずっとあった問題だと思うので、映像を見て、サッカーがよくなるために議論していただけたらなと思います」と冷静なコメントを残した。
 
 だが、山形の土屋明大GKコーチはどうしても冷静ではいられなかった。
 

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