下部組織へ受け継がれる“鹿島の伝統”。小笠原満男アカデミー・アドバイザーの存在意義を中村幸聖新監督が語る

2019年04月09日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

小笠原氏は紅白戦にも参加。中村監督も効果を実感している

小笠原氏とプレーができるのはまたとない機会。選手たちにとっては”鹿島の教え”を直に吸収するチャンスだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 昨季、鹿島はアジア・チャンピオンズリーグを初制覇した。このタイトルがチームにとって通算20冠目。燦々と輝く金字塔は、常にトップを争ってきた常勝軍団の証と言えるだろう。

 そうした勝者のメンタリティーは下部組織にも受け継がれている。昨年、ユースは高校年代最高峰の戦い、U-18高円宮杯プレミアリーグEASTを制覇。惜しくもファイナル(WEST王者との優勝決定戦)は広島ユースに敗れたものの、改めて強さを誇示した。

 また、昨季のチームからは2名がトップに昇格。現在のチームを見てもプロ5年目の鈴木優磨やプロ4年目の平戸太貴などが台頭しており、勝利と育成の両輪を回しながら選手を育成しているのが伺える。

 さらなる人材の輩出が期待されるユースだが、2014年から指揮を執ってきた熊谷浩二監督が今季から強化部に異動。鈴木や平戸らをトップに送り出した指揮官の後釜には、ジュニアユースで指揮を執っていた中村幸聖監督が昇格した。

 クラブのOBでもある37歳の指揮官がどのような采配を揮うのか。注目が集まるなか、"鹿島のレジェンド"も新チームの強化に関わっている。それが昨季限りで引退した小笠原満男アカデミー・ダイレクターだ。
 
 キャプテンとして数々の歴史を作ってきた小笠原氏は育成組織全体を見つつ、ユースの練習にも参加。選手とともに紅白戦へ加わり、言葉だけではなく、実際のプレーを通じて選手たちに"常勝鹿島"の教えを伝えている。
 
 中村監督も「多くのタイトルを獲得してきたキャプテンで、トップを走ってきた歴史をプレーや練習を通じて伝えてもらっている」と話し、「一緒にボールを蹴っても、紅白戦をやっても、激しくプレーをしてもらっています。口だけではなく、実際に身体で伝えてもらっている」とした。

 小笠原氏との関わりはチームにとってプラスの材料。「もっと貪欲に僕自身も含めて、盗めるものは全部盗みたい」と選手だけではなく、コーチングスタッフにとっても学びの機会になっているという。

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