手負いのトッテナムがシティを打ち破る唯一の策は?|CL準々決勝の戦術的ポイントを徹底解説!

2019年04月09日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

選手層の厚さに差が…。

第1レグ出場停止:ト=なし マ=なし
第1レグ欠場濃厚の負傷者:ト=オーリエ、ダイアー、ラメラ マ=ブラーボ、ウォーカー、ジンチェンコ、デルフ
(C) SOCCER DIGEST

 現地時間4月9日に、チャンピオンズ・リーグ(CL)準々決勝の第1レグ、トッテナム対マンチェスター・シティが開催される。

 この注目の一戦を、『ワールドサッカーダイジェスト』誌でお馴染みの現役イタリア人監督、ロベルト・ロッシ氏が鋭く分析。「戦術的ポイント」と「見どころ」を徹底的に解説してもらった。

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【試合の見どころ】
・第1レグの序盤20~30分
・トッテナムが試合状況に応じたハイプレスを繰り出せるか


 絶対的なチーム力(戦力、戦術的な完成度)から見ても、現時点でのチーム状況(好不調、故障者など)から見ても、マンチェスター・シティが明らかな優位に立っている。 

 トッテナムは今シーズン、ハリー・ケイン、クリスティアン・エリクセンと並ぶ攻撃のキープレーヤーであるデル・アリをはじめ、エリック・ダイアー、ダニー・ウィンクスと中盤にも故障者が続出するアクシンデントに見舞われ、マウリシオ・ポチェティーノ監督は試合ごとにメンバーやシステムを入れ替えながら、限られた戦力の中でやり繰りを強いられてきた。

 一方のシティも、ケビン・デ・ブルイネ、フェルナンジーニョ、バンジャマン・メンディが今シーズンは健康体を維持できずにいるが、選手層の厚さがトッテナムとは違う。3人が欠場する際はベルナルド・シウバ、イルカイ・ギュンドアン、オレクサンドル・ジンチェンコがその穴を十分に埋めており、チームとしてのパフォーマンスに大きな低下は見られない。

 ただ、得点源であるセルヒオ・アグエロが故障明けで万全ではないのは気掛かり。第1レグでは無理をさせず、ベンチスタートとなるか。
 
 シティを困難に陥れるためには、アグレッシブなハイプレスでビルドアップを妨害し、ポゼッションによる主導権確立を許さないというのが、唯一最大の方策だ。プレスをかわして主導権を握られ、自陣に押し込められてしまうと、たとえボールを奪ってもゲーゲンプレッシングで即時奪回されてしまう確率が高いため、反撃に転じるのは簡単ではない。

 とはいえ、このハイプレスを高いインテンシティーを保って効果的に遂行するには、チームがフィジカル、メンタルの両面できわめて良好なコンディションにあることが不可欠。現在のトッテナムがそれを満たしているかといえば、明らかに疑問符がつく。

 となると、重心を下げて受けに回り、自陣でのボール奪取からカウンターを狙う戦い方を基本に据えるしかない。時間帯や試合状況に応じて、その中にアグレッシブなハイプレスを時間限定で織り込んでいくことになるのではないか。

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