【小宮良之の日本サッカー兵法書】 強豪相手に状況の変化に対応して勝ち切る――森保ジャパンが残した課題

2019年03月31日 小宮良之

コロンビアに互角の戦い! だが本拠地で敗北…

主力を揃えた強豪相手に互角以上に渡り合う時間帯もあったが、結果は敗北……。このコロンビア戦の経験を活かし、6月の親善試合とコパ・アメリカでは、ステップアップした日本代表の姿を披露することができるか。 (C) Getty Images

「前半は立ち上がりにピンチがあったものの、選手はアグレッシブに戦ってくれた。激しくプレスをかけ、粘り強くボールを奪い、良い守備から良い攻撃が生まれて。ただ、チャンスを多く作ったところで、得点することができなかった。前半に1点でも奪えていたら……」
 
 日本代表を率いる森保一監督は、試合後の会見で開口一番、そう振り返っている。
 
 3月22日、日産スタジアムでのコロンビア戦は、0-1の惜敗に終わった。これまで、2014年ブラジル・ワールドカップは1-4で敗れ、18年ロシアW杯では2-1で勝利。日本が世界と対等に戦うには、怯んではいられない相手だ。
 
 その点、互角の戦いは見せた。前半の戦いは及第点だった。しかし、本拠地で敗れたのも事実である。
 
 森保ジャパンの現在地とは――。
 
「前半のインテンシティーを、後半は保てなかった」
 
 森保監督は、端的に敗因を語っている。
 
 4-4-2で組んだ布陣は、コロンビアを追い込んでいた。前線からの激しいプレッシングで圧迫。プレスバックも強烈で、攻守の切り替えは速かった。
 
 南野拓実が下がって奪い、中島翔哉が狙い、堂安律は積極的に中央へ入ってシュートを打ち込み、右SBの室屋成はタッチラインを攻め上がっている。高速コンビネーションで手を出させない、という試合を続けた。
 
 しかし、90分を同じリズムで戦うのは難しい。変わりゆく局面にどう対応するのか。その柔軟さが問われる試合だった。
 
「後半になって、コロンビアはプレッシャーを強めてきた。(我々は)ボールを動かせず、プレスを回避できなくなった。前線で起点を作れず、押し込まれた。守備での対応もそうだが、ボールロストしてしまって、守備に回らざるを得なかった」
 
 森保監督は、無念の表情を浮かべた。

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