上田綺世に通ずる負けん気の強さ――。帝京長岡のプロ注目FW晴山岬が掲げる唯一無二の目標

2019年03月30日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

仲間のプロ入り内定や世代別代表選出にもどかしさを感じつつも…

負けず嫌いは人一倍。選手権の活躍に晴山は奢らず、さらなる進化を求めている。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 今年の高体連にも、類まれな武器を持つ選手たちが多く存在する。そのひとりが帝京長岡の晴山岬(新3年)だ。最前線を主戦場とする彼の身長は171センチ。FWとしては小柄で、フィジカル能力にも特段恵まれているわけではない。ただ、得点感覚と負けん気の強さは同世代では頭ひとつ抜けている。

 晴山は雪の影響で冬場は幼い頃から室内で出来るフットサルに触れ、細やかなテクニックに加えて膝下だけで振り抜く独特のシュート感覚を習得。狭いスペースでも瞬時にコースを見い出し、どこからでもゴールを狙う術はフルコートのサッカーでも如何なく発揮されている。
 
 実際に昨冬の高校サッカー選手権では、高知西との1回戦ではハットトリックを達成するなど4試合・4得点。全国でもその名を知られた存在となり、最終学年でどのような飛躍を遂げるかより注目を集めた。
 
 迎えた新シーズン。「高卒でのプロ入りしか考えていない」と本人がきっぱりと言い切った通り、目標をひとつに絞って動き出した。ただ、その想いと裏腹に物事は簡単に進まない。

 中学時代からの僚友・谷内田哲平(新3年)が早々に来季の京都入団が内定。さらに早生まれの田中克幸(新3年)、矢尾板岳斗(新3年)はU-17日本代表に招集され、ひとつ上のレベルで揉まれるチャンスを獲得したのだ。

 一方で自身はそうした機会に恵まれず、歯がゆい想いを味わう羽目に。「正直、焦りがある」と本人が話した通り、周りの仲間が先に進んでいく姿にもどかしさを感じていた。

 ただ、そうした悔しさを力に変えられるのは、もうひとつの魅力でもある。なぜならば、負けん気の強さが人一倍あるからだ。

 昨年の選手権前に練習試合で流経大柏と対戦し、超高校級CBの関川郁万(現鹿島)と真っ向勝負。相手が強ければ強いほど燃えるタイプの晴山は何度も挑み続けた。
 
「プロ入りが決まっている選手に対して自分の力を試したかったのもありますけど、そういう相手には負けたくないという想いが昔からある。(関川の)競り合いは本当に強かった。でも、身体を当てて何回か勝てた部分もあったので、そうやって自分からチャレンジしていくのは大事。足もととか裏抜けからアシストして先制点に絡めたのは良かった」
 

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