森保采配に浮かび上がるスタメンと次候補の“断層”。指揮官の優しさ、配慮がもたらす幾つかの矛盾点

2019年03月27日 加部 究

すべての日本人フットボーラーに希望を与えたいと考える指揮官

写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 森保一監督が就任し、日本サッカーは明確に新しい時代に突入した。
 
 アジアカップ決勝ではスタメン全員が海外組だったが、今回のボリビア戦のスタメンは香川真司と乾貴士を除けば、すべてのフィールド・プレイヤーがJアカデミーを経由している。もちろんかつての中村俊輔や本田圭佑に象徴されるように、依然としてユース昇格を逃した選手たちが日の丸をつける状況を見れば、手放しの称賛とまではいかないが、日本でもそれなりにエリート育成のノウハウが蓄積され、海外に進出できる人材を輩出できるようになった証左とも言える。逆に森保監督が4年後のワールドカップでロシア大会以上の成績を狙うなら、新戦力は将来海外で活躍できるポテンシャルの持ち主を発掘するべきで、本来この趨勢を考えればベテランのJリーガーを試すのはナンセンスだ。おそらくもし外国人監督を招聘していれば、そういう人選に傾いたに違いない。
 
 だが国産の指揮官は、やはりすべての日本人フットボーラーに希望を与えたいと考える。「まだまだ日本には、こんなに素晴らしい選手たちがいることを証明したい」と、年齢やキャリアを問わず、就任以来あらゆる可能性を丹念に再確認してきた。
 
 ところが結論から言えば、この連戦は、むしろスタメンと次候補の断層をくっきりと浮き上がらせることになった。
 

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