連日40度に迫るミャンマーで東京五輪世代の欧州組は何を感じたか? 森保監督が彼らに送るメッセージ

2019年03月26日 林 遼平

2連勝を飾るも、実際にミャンマーの環境は…

欧州でプレーする板倉(左)、伊藤(右)、中山(右)。彼らは環境の適応以外に、時差ボケにも悩まされた。写真:佐藤博之

 開口一番に出る言葉は決まって同じになる。

「暑さはどう?」

 うだるような暑さに加え、日本とは違う食文化。中1日で3試合という非常に厳しい環境。東京五輪世代となるU-22日本代表は、ミャンマーの地でU-23アジア選手権の予選に挑んでいる。

 ここまで2戦2勝、14得点・0失点。数字だけを見れば十分な結果と言っていいだろう。

 ただ、どちらの試合も決して簡単な試合ではなかった。身体が重く、足が前に進まない。連日40度近くまで上がる気温に体力を蝕まれ、デコボコのピッチといった過酷な環境によって個々のパフォーマンスが低下。苦しい戦いを強いられた。

 今回は特に"暑さ"への適応がひとつの鍵となっている。立っているだけでも汗が吹き出てくる状況ではトレーニングだけでも一苦労。その上、試合では90分間を見据えて戦わなければいけないのだから、頭をフルに回転させる必要があるのは間違いない。

 現に「頭は相当疲労していると思うので、少しリフレッシュさせてあげないといけない」と、森保一監督に代わって今大会の指揮を執る横内昭展監督代行は2試合目翌日のトレーニングを急遽、リカバリーのみに変更したほどだ。
 
 代表活動を考えるとできるだけ多くの練習を行ない、意思の共有を合わせていきたいところだが、今回は試合間隔が中1日というタイトな日程も加味され、苦渋の決断をするに至っている。

 ただ、これはまたとない機会と言える。出場権を勝ち取った先に迎える来年1月のタイでの本大会では、やはり30度を超える中での戦いが待っており、同7月下旬に開幕する東京五輪もまた、酷暑の中で試合に臨まなければならない。そういったことを考えても、この経験が今後につながっていくことは明らかである。
 
 また今回、森保監督が欧州組を招集した理由のひとつに、こういった遠征の難しさを経験してほしいという思いがある。
 
「(今大会では)見せてほしいというよりも感じて欲しいと思っている。A代表の選手たちは、ヨーロッパから遠征して戦う時に気候的な違いや時差がある中でやっているんだと。クラブで自分のポジションを無くすかもしれないというリスクもある中で、覚悟を持って日本代表の活動に向かってきているというのを感じてほしい。

 それにミャンマーの30度を超えるような気温差の中でコンディションを整えていかなければならない。綺麗にというより、たくましくタフに戦うところを見せてほしい」

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