「Jリーグ随一の欧州サッカーマニア」が語る! アタランタの攻撃ユニットの凄みとは?

2019年03月21日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

前線3人は相手と状況に応じて配置が変わる。

「Jリーグ随一の欧州サッカーマニア」として知られるヴェルディの林陵平。今季のJ2では、デウロフェウ、カプート、ケシエなどのゴールセレブレーションを披露している。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 僕が海外サッカーの虜になったキッカケは、レアル・マドリーの銀河系軍団でした。ちょうど中高生くらいだったのでどっぷりハマって、それ以来ずっとです。

 さて、アタランタは28節を終えたセリエAで57ゴール(リーグ2位)という数字が示す通り、中堅クラブとは思えない破壊的なオフェンス力を誇っています。その中心を担うイリチッチ、サパタ、ゴメスという前線の3人は、1トップ+2シャドー、2トップ+1トップ下、左右がワイドに開く3トップと、配置が試合や状況によって変わるので、相手にとってはかなり厄介だと思います。

 今シーズンから加入したCFのサパタは、とにかくゴール前での動き出しが上手い。クロスやスルーパスに対してニアと見せかけてファーとか、オフサイドラインから戻ってフリーになるとか、一旦止まって飛び込むとか、敵DFの裏を突いてフィニッシュするんです。自分も敵もボールウォッチャーになりがちな場面で、しっかり周囲の状況を把握できている証拠ですね。

 以前はフィジカルに頼りすぎている印象もあったんですが、「頭を使うこと」を覚えた感じで、すでに自己記録のゴール数を挙げています(28節終了時点で得点ランク3位の17点)。ガスペリーニ監督は「ウチのスタイルにはまった。信頼している」と言っていましたが、繊細なタイプが多いストライカーはとくに指揮官との相性や信頼されているかどうかがすごく大事。監督からの信頼を感じられれば、自信を持ってプレーできますからね。
 
 右寄りにいるケースが多いイリチッチは、左足のアウトサイドを使ったターンがとにかく絶妙。同じパターンの仕掛けがすごく多いので、「分かっていてなんで取れないの?」と思うかもしれませんが、セリエAのハイレベルなDFもまんまと引っかかりますね(笑)。レフティーなので逆足の状態でゴール方向を向き、寄せざるをえない敵を得意のターンで手玉に取り、カットインか縦の突破に持ち込みます。

 中央から左寄りが主戦場のゴメスは、昨シーズンと比べると中盤の低い位置に下がってボールを受けるケースが増えましたね。そこからのいわゆる「運ぶドリブル」がコース取りもスピードも完璧で、その間にチーム全体を押し上げられています。スルーパスからクロスまでアシストの種類も豊富ですね。

次ページ「無意識の連動」がクオリティーを生んでいる。

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