浸透した魅力的な攻撃スタイル――復活を遂げたレバークーゼンのラストスパートに要注目だ! 【現地発】

2019年03月17日 中野吉之伴

チーム走行距離平均121.7キロはリーガ記録!

開幕3連敗という最悪のスタートを切ったレバークーゼンが、監督交代を経て完全復調。驚異的な運動量、個の技術、スムーズな連係が融合した攻撃サッカーは、バイエルン、ドルトムントをも圧倒する破壊力を有している。 (C) Getty Images

 レバークーゼンが好調だ。
 
 1月にペテル・ボシュが監督に就任してから、7試合で5勝。結果だけではなく、内容的にも魅力的なサッカーを披露している。
 
 ボシュの起用法で一番のポイントは、ドイツ代表MFカイ・ハベルツとユリアン・ブラントの2人を、中盤で同時起用している点だろう。前半戦、ハイコ・ヘルリッヒ前監督が指揮を執っていた時は、攻守のバランスに気が行きすぎ、にもかかわらず守備にもそこまでの安定感がないというのが問題だった。
 
 ボシュは、アヤックス時代から得意とする4-3-3システムを基盤にしたオフェンシブ・サッカーを浸透させようとしており、それがレバークーゼンの所属選手の哲学とかみ合っている。
 
 攻撃時には選手間の距離を短く保ち、常にパス交換が可能な状態を作り出す。狭いスペースでもボールを受け、運び、相手が嫌がるところを突くことができるブラントとハベルツのコンビプレーは、分かっていても止められないほどの破壊力がある。
 
 加えて、相手が寄せて来て詰まったらワイドに展開し、両サイドに配備されている高速ドリブラーのレオン・ベイリーとカリム・ベララビへパスを飛ばすこともできる。
 
 ボールロスト時には、可能な限り素早く回収することを求めているが、ドルトムントでの失敗から、無理なプレスよりも素早い帰陣で不要な失点を防ごうとしている。
 
 攻守にいつも好状況を作り出すためには、相手よりも早く、タイミング良く、多く走ることが求められる。この点に関しては、数値でも変化が見られている。ここ最近の1試合チーム走行距離は平均121.7キロで、これはブンデスリーガ記録だ。
 
 スポーツディレクターのシモン・ロルフェスは、「前半戦でもチーム走行距離の数値は良かったが、ボシュが来てからの選手たちは、さらに密度の濃い走りができるようになった。チームには元々、走力のある選手がたくさんいたし、今、ボシュのオフェンシブ・サッカーをうまく機能させようと、チームとしての準備ができている」と語っていた。

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