開幕2連勝で首位快走!水戸の快進撃を牽引する新生ダブルボランチを見逃すな

2019年03月07日 佐藤拓也

ダメ押しの3点目を決めた前は言う。「昨季だったら、あそこまで走り込めていなかったと思います」

ともにバランス感覚に優れた前(8番)と平野(6番)のダブルボランチが、首位を走る水戸のサッカーを牽引している。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 2節の栃木戦、2点リードで迎えた51分、左サイドの黒川淳史のクロスに対して、ファーに走り込んだのが前寛之だった。冷静に左足を振り抜き、ダメ押しとなる3点目を叩き込んだ。
 
「昨季だったら、あそこまで走り込めていなかったと思います」。前はそう振り返る。水戸にとって過去最高順位である10位という結果を残した昨季。中盤を支えたのは小島幹敏(現・大宮)と前のダブルボランチだった。抜群のパスセンスを持ち、主に攻撃面を得意とする小島が前目にポジションを取り、ボール奪取能力に長ける前がやや後ろ気味に位置して中盤の底をカバーする。その明確な役割分担が絶妙な連係を生み出していた。
 
 ただ、小島がシーズン終了後にレンタル満了で大宮に復帰。昨季、攻撃を組み立ててきた司令塔がいなくなり、戦力低下を懸念する声は大きかった。そうした声を払拭したのが、大卒2年目の平野佑一だ。「平野は小島よりも広い展開ができる選手。昨季とはまた違った持ち味を出してくれると思いますよ」と西村卓朗強化部長が期待していた通りのプレーを披露。正確なサイドチェンジを繰り返し、幅広い攻撃を展開してチームに勢いをもたらした。
 
 また、ゲームメイク能力に長ける平野は、「守備でもハードワークができるし、身体も張れる選手」と前が評すように、守備面でも献身的な姿勢を見せてチームに貢献している。それゆえ、昨季のように「前」と「後」ではなく、「ふたりで前も後ろも右も左もできる関係」(前)が生まれ、状況に応じてポジションを入れ替わりながらプレーすることができている。だからこそ、得点場面で前がゴール前まで走り込むことができたのだ。「昨季はどうしても後ろ目でリスク管理を意識する回数が多かった。なので、ゴール場面は昨季との違いを出せたと思っています」。前は胸を張った。
 
 栃木戦、ふたりの試合の流れを読む目も光った。水戸は開幕戦で左サイドから攻撃を繰り出して岡山の守備を崩していっただけに、栃木は左サイドへの対策を練ってきた。試合開始からなかなか左サイドで起点を作れないと判断すると、ふたりは右サイドに積極的にボールを送り、攻撃を仕掛けて守備を崩していった。
 

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