【浦和】19歳の橋岡大樹が甘さを痛感した苦難の3週間…そして訪れた飛躍のきっかけ

2019年03月07日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「出番を失ってから気づかされた」

ブリーラム戦では2ゴールと躍動。大会公式のMVPにも選ばれた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[ACLグループステージ1節]浦和3-0ブリーラム/3月6日/埼玉スタジアム2002
 
 浦和レッズの橋岡大樹にとって、ACLの一戦目ブリーラム・ユナイテッド戦がひとつの転機になるかもしれない。
 
 今季初めての公式戦、川崎フロンターレとの富士ゼロックス・スーパーカップでのパフォーマンスは、実に不甲斐なかった。攻めては車屋紳太郎に抑えられ、守っては家長昭博に振り回され、まったくアピールできなかったと言っていい。
 
 実際その後のリーグ戦2試合は出番がなく、特に2節の札幌戦ではベンチに入ることすらできなかった。
 
「昨年は多少悪いプレーをしても試合に出してもらえていた。そんな環境に甘えてしまっていた自分がいました。ゼロックスでチームに迷惑をかけて出番を失ってから気づかされたんです。練習から一歩一歩謙虚に取り組むことが大事なんだと」
 
 だからこそ久しぶりに出番を与えられたブリーラム戦には、特別な想いを抱いて臨んだし、意気込みはいつも以上に強かったはずだ。
 
 右ウイングバックで先発した橋岡は、まさにそんな強い気迫を感じさせるプレーを見せる。常に積極果敢なスタンスを崩さず、高めのポジションを保って攻撃に厚みをもたらせば、相手のオーバラップにもそつなく対応していく。
 
 圧巻は後半だ。75分に、こぼれ球に素早く反応して1ゴール目を突き刺すと、88分には右サイドを駆け上がり、汰木康也からのクロスにダイレクトで合わせて2ゴール目を奪取。ACLデビュー戦とは思えない堂々たる活躍を見せたのだ。
 
「槙野(智章)選手にはハーフタイムに『全部足もとに止めるだけじゃなくて、前を向いて、ドリブルや中央に入っていったり、いろんなアイデアを出せ。もっと自信を持ってやっていい』と言われた。いろんなプレーを選択肢に入れないといけないなと思って、(1点目は)思い切りやって結果が出ました。それに、監督にも『どんどん入っていけ、あそこがチャンスだ』とゴール前に入っていくことを要求されていました。(2点目は)汰木選手はドリブルが得意なので、絶対に中に来ると思ったんです。しっかり走った結果触るだけのボールをくれた。感謝したいです」

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