原口元気も認めるポジティブな変化! 熱き新指揮官の下、“勇敢”なハノーファーが浮上を図る 【現地発】

2019年02月16日 中野吉之伴

直接対決を制して最下位脱出に成功!

今冬にフランクフルトからレンタルで加入したミュラー(中央)の2ゴールで最下位から脱出したハノーファー。アジアカップを終え、4試合ぶりに出場を果たした原口も、攻守で奮闘して10試合ぶりの勝利に貢献した。 (C) Getty Images

 キックオフ前、一瞬だったが、曇り空から太陽が顔を覗かせた。それは、何かの"吉兆"だったのだろうか。

 ブンデスリーガ第21節、最下位のハノーファーが、ホームに17位ニュルンベルクを迎えた大事な一戦。どちらにとっても、負けたら残留争いで大きな大きな痛手となる。そして、引き分けでは状況は大して変わらない。どちらも求めるは、勝点3のみだ。

 こうした状況下では、焦りが色濃く出た方が厳しくなる。激しくいきながらも、どこまで落ち着いていられるか。そして、どこまで積極性を高く保つことができるのか。そこが、試合の行方を左右することになっていく。

 先に崩れたのは、ニュルンベルクだった。11分、MFシモン・ラインが左サイドでボールを奪いに行く際、足裏を見せたかたちでタックルにいってしまった。これが、ハノーファー右SBユリアン・コルブの右膝あたりを直撃してしまう。主審が取り出したのはレッドカード……早々に、数的不利の状況に陥ってしまった。

 これでホームのハノーファーは、一気に試合の流れを引き寄せ――といきたいところだったが、下位で低迷するチームというのは、こうした機会を得ても、なかなかモノにできないものである。

 ボールを支配している時間こそ長いものの、攻撃としてのかたちはチグハグで、逆に4-3-2システムでセンターの守備を堅くしながら、カウンターに持ち込むニュルンベルクの方がチャンスを作っていく。

 そんなチームの様子を見て、コーチング・ゾーンではハノーファーのトーマス・ドル監督が、激しいジェスチャーで「押し上げろ! 前から!」と鼓舞し続ける。

 ちょっとしたきっかけになったのが、30分にニコライ・ミュラー、その1分後に原口元気が、個人技からフィニッシュに持ち込んだあたりからだろうか。シュートを撃ったことで、多少はハノーファーの攻撃に勢いが出てくるようになった。

 そして、前半アディショナルタイム5分、ついにハノーファーは先制に成功した。

 左サイドのマティアス・オスジョレクが早いタイミングでロングクロスをペナルティーエリア内へ送ると、長身FWヘンドリック・ヴァイダントが頭で落とし、スッとスペースに入り込んでいたミュラーがヘディングシュート。GKクリスティアン・マテニアが指先で触ったが、ボールはそのままゴールへと流れ込んだ。

 喜びの輪が広がり、スタジアムは一気に活気づいた。後半、67分にはカウンターから、ミュラーがこの日2点目となるゴールをマーク。試合の行方を完全に決めた。

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