充実補強の"風間グランパス"は何が変わる?指揮官の言葉から読み解く2019年の設計図

2019年02月06日 今井雄一朗

タイキャンプでは「ボールを前に運ぶこと」を強烈に意識させてきた

ポゼッションを重視する風間監督はGKにも指令を出した。写真:滝川敏之

 目標を「ACL出場権獲得」としたあたりから、すでにクラブの意欲と意気込みは伝わってくる。J1復帰1年目の2018年は薄氷を踏む思いで残留を決めたチームだが、その規模とメンバーを見れば残留争いが妥当なチームでないことは確かだ。このオフには楢崎正剛が引退し、玉田圭司と佐藤寿人がそれぞれ長崎と千葉に移籍。チームの旗印でありカラーを象徴してきた選手たちがいなくなったことで、名古屋は新時代への歩みを進める覚悟を示したと言えるだろう。
 
 ここまでのトレーニング、そしてキャンプでの取り組みと選手たちの動きを見ていても、これまでよりさらに変化と進化を遂げようとしているのは明白だ。移籍と新人を合わせて12名もの新戦力を獲得し、そのなかには米本拓司や吉田豊など代表クラスの選手もチームに迎え入れた。6日にはイタリアやポルトガルでプレーしていたボランチのジョアン・シミッチの獲得も決まり、中盤の厚みをさらに増して開幕へ向かうことにもなった。33名もの大所帯となった陣容は"競争、共闘、協力"という風間八宏監督が掲げたテーマの下で、試合より厳しいトレーニングを実現すべく日々を過ごしている。
 

 では、今季のチームは何が変わりそうかといえば、「速さ」である。チーム始動からタイキャンプまでは風間スタイルの基礎とも言える技術面をリマインドしつつブラッシュアップし、指導を進める土台を築いた。そしてタイでの1次キャンプでは地元チームとの練習試合を実験の場としつつ、指揮官は「ボールを前に運ぶこと」をとにかく強烈に意識させてきたという。そして始まった沖縄キャンプで選手たちが見せた動きはまさにその通りで、DFラインからFWまでがとにかくゴールと敵陣を目指してボールを果敢に動かし、その意図が連動したパスワークでペナルティエリアを攻略していく。「速いでしょう。後ろと横へのボールの動きが減ったし、この速さでつないでいけば誰も追いつけないよ」。攻撃に加速していくチームを見て、風間監督は嬉しそうに話した。

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