アジア杯で最も評価を上げた日本人選手は?大迫や冨安以上に存在の大きさを感じたのは遠藤航だ

2019年02月04日 佐藤俊

気の利いた守備だけでなく、攻撃でも貢献していた

準決勝で負傷した遠藤(6番)。不在だった決勝で、改めてその価値が証明された。(C)AFC

 準優勝に終わったアジアカップだが、個々の選手にフォーカスすれば、評価を上げた選手、もうひとつだった選手、いろいろ見えてきたと思う。
 
 評価を上げたのは、大迫勇也と冨安健洋だろう。
 
 大迫は初戦のトルクメニスタン戦に出場した後、臀部の故障で2週間ほど休養し、準々決勝のベトナム戦で試運転を行ない、準決勝のイラン戦から完全復帰した。大迫不在時、日本の攻撃はもうひとつ機能せず、苦戦の連続。だが、イラン戦でスタメン復帰すると、日本の攻撃に淀みがなくなった。完璧なポストプレーから、さらに前を向いてボックス内に入っていく。一連の動きに無駄がなく、周囲の選手は大迫に絶対的な信頼を置いているので、その流れに乗るように連動してプレーし、攻撃が活性化した。4試合・4得点という結果はもちろん、大迫のプレーは周囲の選手の良さを引き出し、プレーに大きな影響を及ぼすという点において、日本にとって欠かせない選手になった。

 冨安も大きく評価を上げた。
 
 吉田と組んでセンターバックとしてプレーした5試合は、非常に安定していた。ふたりのコンビネーションも前で競る吉田、カバーする冨安という役割分担が出来ていたし、個人的にもスピードと対人の強さを見せて、イラン戦ではエースのアズムンを完全に抑えた。守備能力が非常に高く、今や昌子源を追い越す勢いだ。怪我なく、順調に成長すればこれから10年間、代表のセンターバックを任せられるポテンシャルを今回、見せてくれた。
 
 大迫や冨安以上に存在の大きさを感じたのは、遠藤航だ。
 
 ボランチとして5試合に出場し、ボールを狩る能力、1対1の強さ、スペースを埋める動き、ロングフィード、縦パスなど、自分の持ち味を十二分に発揮した。サウジアラビア戦やイラン戦では、カウンターで危ないと思われた時に必ず遠藤がいて、ピンチを救ってくれた。これだけ気の利いた守備をできる選手は、なかなかいない。
 
 もちろん守備だけではない。
 
 リオ五輪代表ではボランチとしてプレーし、攻撃のスイッチとなる鬼のような縦パスをビシビシ入れていた。最近は入れるだけではなく、もう一度もらいに前に走り、ボックス内でのシュート、アシストを意識してプレーしている。実際、昨年のコスタリカ戦ではドリブルで運んだ後、中島翔哉に出し、自らボックス内に侵入してリターンを受けると、さらにもうひとつタメを作って中央に折り返し、南野拓実のゴールをアシストした。

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