疑問が多すぎる森保ジャパンの戦術的マネジメント。予想できたミスマッチに対し、なぜ準備をしなかったのか

2019年02月03日 清水英斗

フリーでパスをつながれたのは、中央で数的不利という構造的な問題が大きかった

システムの噛み合わせを上手く利用したカタールの戦略に、森保監督は対応できなかった。(C)AFC

 アジアカップ決勝、日本はカタールに1-3で敗れ、優勝を逃した。
 
 森保一監督も「ミスマッチ」という言葉で振り返った、この試合。3-5-2のカタールと4-4-2の日本では、かみ合わないポジションができるのは当然だ。
 
 しかし、「ミスマッチ」は敗因になり得ない。なぜなら、かみ合わせが悪いのは、お互い様だから。カタールに浮く選手がいるなら、日本も浮く選手がいる。このミスマッチを利用できるか、あるいは利用させないか。ここが焦点だ。
 
 もし、それが一方のチームにのみ有効に働いたとすれば、それはミスマッチを生かす戦術、あるいはミスマッチを埋める戦術が明確になっていないからだ。実際、カタールは明確、日本は不明確だった。
 
 試合の序盤は、日本が運動量とスピードでハイプレスをかけた。情勢は五分五分か、むしろ日本優位だったかもしれない。とはいえ、キックオフ直後にエネルギッシュなチームが押し込んで行くのは、サッカーの試合ではよく起きること。その勢いに慣れ、試合が落ち着き始めると、少しずつ構造的なミスマッチが表面化する。これもよくあること。
 

 カタールの優位は、中央だった。3バックとアンカーの4枚がビルドアップの起点となり、日本は大迫勇也と南野拓実の2枚でプレスに行くため、4-2=2。カタールは起点で2枚の優位があり、ボールを回せる。
 
 そこで日本がアンカーを抑えるため、柴崎岳が前に出て行くと、今度は相手インサイドハーフ2枚、6番ハティムと10番アルハイドスのどちらかが浮く。芋づる式のミスマッチだ。あるいは原口元気が3バックを抑えるために前へ出た場合も、やはり隣のパスルートが空き、インサイドハーフに通される。
 
 無論、このようなズレを気にして、柴崎や原口が出て来なければ、カタールはそのままアンカーにボールを持たせればいい。フリーでパスをつながれたのは、中央で数的不利という構造的な問題が大きく、塩谷の球際の強さも生かされなかった。また、11番のFWアフィフが最前線に留まらず、下がって浮遊することも、中盤の判断を難しくした。
 

次ページカタールがミスマッチを生かした攻撃を行う一方、日本はどうだったのか?

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