「日本は完成度が低かった。それでも…」英国誌記者が森保Jのアジアカップを大胆に総括!

2019年02月02日 マイケル・プラストウ

新王者カタールは組織としての連動性が素晴らしかった

決勝で完敗を喫し、悔しさを噛み締める日本代表の選手たち。プラストウ記者は「悲観的に捉える必要などまったくない」と言い切り、大会を通しての健闘を称えた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)


 アジアカップ2019を制したのはカタール代表だった。文句なしの、圧巻のチームパフォーマンスで頂点まで駆け上がった。

 決勝戦では日本代表を相手に終始、効率の良いフットボールを展開。前半半ばまでに2点のリードを奪うと、選手全員がグッと守備意識を高めて堅陣を築き、終盤のシリアスな時間帯でも集中力を切らさなかった。メンバーの年齢を見ると実に若いが、チームとしての完成度が申し分ない。

 やはりそこはユース年代から選手たちを見守ってきた、フェリックス・サンチェス監督の手腕によるところが大きいだろう。なにせ7戦全勝で、19得点の1失点である。ポゼッション・スタイルを貫けば、自陣に閉じこもって1点を守り切ることもできるなど戦術のレパートリーが豊富で、組織としての連動性が素晴らしかった。フットボールの枠にとどまらず、カタールという国にとっても、今回のアジアカップ制覇がもたらす意味は大きかったはずだ。

 準決勝でイランに勝利して波に乗っているはずの森保ジャパンだったが、さすがにあの流れを覆すのは難しかった。力負けした、というのが実際のところだ。たしかに史上最多5度目のチャンピオンを逃がした。だが、それでも準優勝である。胸を張っていい好成績だろう。決勝戦の敗北も、新生ジャパンにとっては今後の糧となるに違いない。

 
 発足から5か月が経過したが、完成度がまだ低かったと認めるほかない。技術と経験、スタミナ、さらにはメンタリティーを頼みに、一体感を高めながら勝ち上がった。しかしながらカタールを倒すにはやはりどこかパンチと迫力がなく、物足りなかった。相手は、ほぼ同じメンバーで長きに渡って強化を積み重ねてきたチーム。完成度の差で敗れ去ったとも言える。

 中島翔哉、守田英正、浅野拓磨など怪我人が相次いで離脱し、森保一監督が理想とするメンバー構成で臨めなかった、そんななかでも、試合を重ねるごとによく進化の跡を提示したと思う。ノックアウトラウンドでサウジアラビアとイランを下したゲームは、大いなる自信に繋がったはずで、ファイナリストに相応しいチームだった。

次ページ2失点目は、さすがにチェックが緩慢にすぎた

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