【小宮良之の日本サッカー兵法書】 次々に生まれる「サイドから仕掛けられるタレント」をどう活かす!?

2019年01月19日 小宮良之

日本サッカーの光明

サイドから相手守備を突破し、フィニッシュまで持ち込めるアタッカーの存在は、いつの時代にも大きな武器。それが日本サッカーでは量産されつつある。これを活かさない手はない。写真は堂安(左)と中島。 (C) Getty Images

「仕掛けることで相手のバランスを崩せる選手が、攻撃では欠かせない」
 
 マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督はそう言って、過去に率いたチームでは、その系統のアタッカーを重用してきた。
 
 バルセロナ時代のリオネル・メッシは、その典型だろう。バイエルンでは、フランク・リベリ、アリエン・ロッベン、ドグラス・コスタがそうだったし、今ならレロイ・ザネ、ラヒーム・スターリング、リャド・マハレズになるか。レアル・マドリーに移籍したブラヒム・ディアスもそのひとりだった。
 
 彼らは主に、サイドから切り込んでいくことで、守備陣形を攪乱。乱れを生み、味方にアドバンテージを与えられる。拮抗した勝負をモノにするには、ひとりで切り込める(あるいはコンビネーションを使って守備を崩せる)能力者が必要なのだ。
 
 そうは言っても、簡単に手に入るものではない。
 
「仕掛けろ!」
 
 指導者がいくら叱咤しても、できない者にはできない。その選手が相応の技術を持っているのが、ひとつの条件。さらにチームとして、そこまでボールを運べるメカニズムも持っていなければならないのだ。
 
 日本サッカーの光明は、この役割を果たせる才能が生まれている点にある。
 
 ロシア・ワールドカップで存在を示した乾貴士(ベティス)、原口元気(ハノーファー)のふたりは、その筆頭だろう。さらにW杯後、頭角を現わしているのが、中島翔哉(ポルティモネンセ)、堂安律(フローニンゲン)である。このふたりも、W杯のメンバーに入っていても不思議ではなかった。
 
 4人とも、スペイン、ドイツ、ポルトガル、オランダと、欧州のトップリーグのクラブに所属し、日々、その技巧を鍛錬している。
 
 Jリーグでも、柏レイソルの伊東純也は圧倒的なスピードを誇る。スピードに頼らないポジションや準備の良さを身につけられたら、他を凌駕するだろう。また、移籍した川崎フロンターレでは定位置争いで苦しんでいるものの、ブラジルW杯メンバーの齋藤学も選ばれた才能の持ち主だ。

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