山形からポルトガル1部ブラガへ――驚きの欧州移籍を実現した20歳MF、安西海斗ってどんな選手?

2019年01月19日 頼野亜唯子

年代別代表では堂安律、冨安健洋らがともに名を連ね、柏の同期にはハンブルク伊藤達哉も

ポルトガル1部のブラガへの完全移籍が決まった安西。20歳の若武者がさらなる進化を求め欧州に渡った。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 1月15日、安西海斗の海外移籍が発表された。移籍先はポルトガル1部リーグ上位のSCブラガ。期限付きで加入していたモンテディオ山形では、すでに計算できるボランチに成長を遂げており、柏レイソルへの復帰は想定内の状況ではあったが、まさかポルトガルとは――。

 だが、驚きはあるものの彼らしい選択だと感じたのも事実だ。19歳で山形にやってきた一昨年の夏、安西海斗はすでにプロとして強いメンタルを持っていた。彼にとっては「まだ19歳」ではなく「もう19歳」。愛着のある柏を離れて挑戦を選んだ彼の言動には、焦燥感にも似た向上心が滲み出ていた。

 中学から柏の下部組織で育ち、2013年にはU-15日本代表に選出。当時参加した遠征メンバーには堂安律、冨安健洋の名前もある。また、同じく柏の下部組織育ちでU-18からハンブルガーSVに加入した伊藤達哉とは、同学年で仲もいい。負けていられないという思いは強い。

「(伊藤が)もうA代表に呼ばれているのは悔しい気持ちもあるし、向こうが活躍していると自分も力が湧いてくる。早く追いつきたい」

 自分にも、という自信はあった。柏U-18からトップ昇格した2016年も「何試合かは出られると思っていた」。だが実際はメンバー入りすらできず、2年目こそはと「最初から飛ばしていこうと思って頑張った」が、リーグ戦はベンチ入りがやっとだった。しかし、2試合だけ出場したルヴァンカップで磐田、札幌と対戦した時の感触は「J1相手でもやれる」というものだった。

 その自信が正しいものなのかを試すためにも、もっと自分を成長させるためにも、とにかく試合に出たかった。そこへ舞い込んだ山形からのオファー。一も二もなく応じ、2017年7月、安西は育成型期限付き移籍で山形の選手になった。
 
 環境の変化など意に介さぬ様子で、安西はすぐに持ち味を発揮した。移籍後すぐにメンバー入りし、2試合目には先発。木山隆之監督が目に止めたプレーのひとつは、思い切りのいいクサビのパスだ。
 
「狭いエリアで受けても、後ろに戻さずに前に差し込んでいく能力は高い」
 囲まれても前を向き、味方の位置とスペースを把握してスピードのある縦パスを打ち込む。その度胸も含め、見ていても小気味が良かった。
 

次ページなぜ出られないのか分からなくなった時期に…

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