【選手権】「今年は“流経大柏の大会”に」昨冬準優勝の”千葉の雄”は悲願の日本一を掴み取れるのか

2019年01月11日 安藤隆人

名将・本田監督が絶賛する下級生ボランチコンビが優勝のキーマンに

2年生の八木⑱と1年生の藤井⑳。中盤の底に構えるコンダクターがチームの浮沈を握る存在だ。写真:徳原隆元

 まずは第一目標だった埼玉スタジアムに戻ってきた。昨年度準優勝の流経大柏は、1月12日に瀬戸内との準決勝を迎える。
 
「本当に苦しい戦いの連続でした。まず初戦の徳島市立戦が本当に苦しかった。それを突破したら、いつもなら一気に波に乗って行くのですが、今大会は乗り切れなかった。今年のチームは大勝ちをするか、大接戦になるかのどちらかだと思ったけど、この3戦は全て後者でした」
 
 大一番を前に本田裕一郎監督がこう語ったように、ここまでの勝ち上がりはすべて1点差(2回戦/徳島市立2-1、3回戦/星稜1−0、準々決勝/秋田商1−0)。大会前の評判ではトーナメント表の左側のブロックに強豪が偏り、優勝候補同士が潰し合った。逆に右側のゾーンは"流経大柏有利"と目されていた。『勝ち進んで当たり前』――。この状況が思いのほかチームのプレッシャーになっていたのだ。
 
「組み合わせが決まった時点で、『有利』と言われていましたが、本当に勝てる保証は無いし、難しさはありました。実際に相手も死にものぐるいで向かってくるし、周りからは『勝って当然』と見られている中で戦うのは、正直しんどさはありました」(左部開斗/3年)
 
 こうした重圧のなか、チームは今年のテーマである"ハイプレス&高速アタック"をしっかりと実行。得点こそ少ないものの、3試合でわずか1失点の堅守で勝ち上がって来た。スコアだけを見れば薄氷の勝利に見える。ただ、彼らが見せる手堅い守りは相手からすれば、まさに『難攻不落の壁』だった。
 
 この壁の中心に君臨するのが鹿島入団内定のCB関川郁万(3年)だが、最終ラインの前に構える2年生・八木滉史と1年生・藤井海和のダブルボランチも見逃せない。本田監督はその存在感をこう力説した。
 
「藤井と八木はあのポジションでは欠かせない。3試合とも良かった。ウチはダブルボランチを『カーテン』と呼んでいるのですが、あの2列目で相手の攻撃を遮断して、『木漏れ陽』じゃないですが、ぽろっとカーテンからのこぼれたボールをCBなどが回収して、マイボールにする。

 藤井と八木のカーテンが一番効果的な組み合わせで、彼らがいることでディフェンスラインにダイレクトに持って行かれてしまうのではなく、その手前で食い止められているのが大きい。(走行距離やスプリント回数GPSの)データを見ても、準々決勝の秋田商戦が非常に良くて、シュートを3本しか打たれなかったけど、データが少し落ちた星稜戦はやはり一番ピンチが多かった。ウチの要ですよね」

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