すべてを持ったストライカー、ビジャ。“VIPトリオ”結成で神戸に何をもたらすのか?

2018年12月27日 吉田治良

スペイン代表では、F・トーレスより頼りになった

バルサでエースの重責を担ったビジャの獲得は、神戸の"バルサ化"をさらに加速させるだろう。(C)Getty Images

 ヴィッセル神戸に、元スペイン代表FWのダビド・ビジャがやって来る。

 EURO2008と2010年の南アフリカ・ワールドカップの優勝メンバーであり、いずれの大会でも得点王に輝いた、正真正銘のビッグネームだ。
 
 アジアナンバー1クラブになる──。明快なビジョンを掲げ、その手段として脇目も振らず"バルサ化"に邁進する神戸が、アンドレス・イニエスタに続き、かつてバルサでエースの重責を担ったストライカーを獲得する。
 
 いかにも短絡的だと、そんな見方もあるかもしれない。12月で37歳になったベテランに、それほど多くは望めないだろうと、揶揄する声も聞こえてきそうだ。
 
 けれど、ビジャの獲得は、神戸がJリーグで優勝争いの常連となり、アジアへと飛躍するうえで、とても大きな意味を持つものだったと、個人的にはそう思っている。
 
 根拠は、いくらでも挙げられる。
 
 第一に、その決定力と勝負強さだ。
 2001年にラ・リーガ2部のスポルティング・ヒホンでプロデビューを飾って以来、この約20年間、彼は毎年コンスタントに20ゴール前後をマークしてきた。過去3年はMLSのニューヨーク・シティでプレーしたが、2年目の2016年シーズンには23ゴールを挙げてMVPを獲得。翌年8月には、35歳でスペイン代表に3年ぶりの復帰も果たしている。得点感覚はまるで錆びついていない。
 

 十八番は、巧みなポジショニングと機動力を活かし、敵の背後へと飛び出すラインブレイク。ボールを受けると、"両利き"と言っていいほど遜色なく使いこなせる左右両足を駆使して、実に多彩なフィニッシュワークを見せつける。ミドルシュートも強烈なら、175センチというサイズの割にヘディングも得意だ。
 
 EUROとW杯で得点王に輝いたように、大一番での勝負強さも際立つ。PKの成功率の高さからも分かるようにハートが強靭で、エリア内で冷静さを欠くことが滅多にない。スペイン代表では、同じ時代を生きたフェルナンド・トーレス(現・サガン鳥栖)より、はっきり言ってよほど頼りになった。
 
 バレンシアからバルサに移籍した2010-11シーズン、初めて臨んだレアル・マドリーとのエル・クラシコで、いきなり2ゴールと大仕事をやってのけたのも、何事にも動じない胆力の賜物だろう。
 

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