圧巻9連勝の立役者、今野泰幸が明かす「指揮官ツネと新生ガンバの真髄」

2018年11月24日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

「自分は無力。ただ頑張れ、勝ってくれとしか…」

戦列復帰した川崎戦からチームは9連勝! 今野の奮闘なくしてなし得なかった偉業だ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 実に21年ぶりとなる9連勝だ。

 ガンバ大阪は土曜日のJ1リーグ第31節、V・ファーレン長崎戦で2-1の勝利。今季のホーム最終戦を白星で締めくくり、1997年シーズンにパトリック・エムボマを擁して快進撃を続けたチームの連勝記録に並んだのだ。次節、アウェーでの柏レイソル戦で新記録樹立を狙う。

 長崎戦でもいぶし銀の異彩を放ったのが、ボランチの今野泰幸である。兄貴とも慕う遠藤保仁と2ボランチを形成し、いつものように広範囲をカバーしながら、攻守両面でツボを押さえたプレーを連発。2度のワールドカップを経験した34歳は、ここにきてさらなるスケールアップを遂げた印象で、まさに9連勝を陰で支える立役者だった。

 アクシデントに見舞われたのは5月。右足の関節を傷めて、同23日には手術に踏み切った。レヴィー・クルピ新政権下で下位に低迷し、もがき苦しむチームを横目に見ながら、「自分は無力でなにもできない。ただ頑張れ、勝ってくれとしか思ってなかったし、応援するだけでした」と、祈るように戦局を見守っていたという。

 
 7月23日、クラブはクルピ監督を解任し、U-23チームで指揮を執る宮本恒靖監督の昇格を発表する。それでも、なかなか状況は好転しない。今野はもどかしさを感じながらもリハビリに専念し、来る復帰戦への青写真を描いていた。

 そして迎えた9月1日、第25節の川崎フロンターレ戦で満を持して戦列復帰を果たす。クラブ史上に残る連勝記録がスタートした、あの2-0快勝劇だ。稀代のダイナモはこう振り返る。

「監督がツネさんになって、すごく良いトレーニングを積めるようになっていた。僕が出始めてから連勝になったとか言われるけど、タイミングが良かっただけなのかなと思う。チームのみんながひとつの方向に向かって動き始めた、まさにそのタイミングに僕が入ったんですよ」

 では、指揮官・宮本恒靖をどう評しているのか。

「なんだろ、練習をピリっとさせるというか、すごくプレーの質を大事にする監督だなと思います。ツネさん自身もキビキビしていて、けっこうボール出しとかしてくれるんですが、キックやパスがやっぱり巧いんですよ(笑)。よく言われるのは、攻守の切り替えのところ。そこが一番かな。スピーディーに攻めろと。ボールを奪ってからのパスの質が求められて、だらだら回すんじゃなくて前に効果的なパスをどんどん出して、素早く攻め切ろと言われる。個人的にはここが大きな変化だったかなと思います」

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