健闘及ばず17位以下が確定…J1初挑戦の長崎に足りなかった”勝つための+α"

2018年11月12日 藤原裕久

得点力不足が重い足かせに

横浜に敗れ呆然と立ち尽くす徳永(32番)。ベテランらしい安定した守備を見せたが、攻撃は活性化できなかった。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 V・ファーレン長崎は10日にホームで行なわれたJ1リーグ32節で横浜F・マリノスに敗れ、リーグ2試合を残して今季の17位以下が確定した。
 
 長崎がここからJ1に残留するには、残る2試合で柏レイソルとの勝点差4を逆転し、なおかつJ1ライセンスを持たないFC町田ゼルビアがJ2で2位に入った場合のみ出場できるJ1参入プレーオフ決定戦に勝利するしかない。他力の要素が強く、文字どおりの崖っぷちと言って良いだろう。

 開幕前には「降格候補の最右翼」と目されながらも一時はリーグ4連勝を達成するなど、初のJ1とは思えぬ戦いを見せた長崎だったが、最終的にその評価を覆せなかったのはなぜか? その原因のひとつには「+αの不足」があった。
 
 初のJ1を戦うにあたり、徳永悠平、徳重健太らベテランと鈴木武蔵、黒木聖仁ら即戦力を中心に補強した長崎だが、J2から昇格したばかりのチームを急激に強化するには、決して充分とは言えず、選手たちの成長は必須とされていた。
 
 特にそれが顕著だったのが、攻撃陣だ。ファンマ、中村慶太、ベン・ハロランらはJ1での経験がなく、澤田崇、平松宗、鈴木武蔵らもJ1ではほとんど得点はできていなかった。そこでチームは守備にリスクをかけて得点を狙っていくことになったのだが、それが失点増へとつながり、ここに攻守のリンク役である黒木、攻撃の司令塔である中原彰吾が故障で出遅れたことでチームはリーグでなかなか勝利を手にできなかった。
 
 それでも選手たちがJ1のスピードや強度に馴れ、黒木と中原が復帰して攻守が噛み合いだした4月からは結果も出るようになっていた。開幕前の「ワールドカップの中断期間までの15試合にスパートをかける」というプラン通りに15位で中断期間に突入できたのである。懸念された攻撃陣も15節終了時点で、鈴木が自身のシーズン最多得点記録を更新する5得点、中村慶に至っては鈴木と並ぶリーグ5得点だけでなく、ルヴァンカップでも2得点と大きな成長を示していた。
 

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