【セルジオ越後の天国と地獄】もしポジションが取れなければ、レベルの合うクラブに移ればいい

2014年08月07日 週刊サッカーダイジェスト編集部

本田と香川はクラブでアピールを続けるのか移籍するのか、早く答を出すべき。

定位置争いで苦戦を強いられている香川と本田。自分に合ったクラブに移籍するという選択があってもいい。(C) SOCCER DIGEST

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※週刊サッカーダイジェスト8.19号(8月5日発売号)より
 
【写真】香川真司・長友佑都・本田圭佑 in U.S.A. ――2014 インターナショナル・チャンピオンズカップでの奮闘 etc.
 
 ヨーロッパの各国リーグが今月中旬から下旬にかけて続々と開幕する。それに備え、各チームはキャンプやプレシーズンマッチに取り組んでいる。本田が所属するミラン、香川のマンチェスター・ユナイテッド、長友のインテルは、いずれもアメリカで行なわれているインターナショナル・チャンピオンズカップに出場している。
 
 ここ数年の実績があり、時にキャプテンマークまで巻く長友は、チーム内での地位が確立されている。指揮官へのアピールに躍起になる必要がなく、地に足をつけた調整ができるだろうね。
 
 一方、本田と香川の置かれた立場は、そうじゃない。彼らはクラブの期待に応えられないまま昨シーズンを終え、ポジションが約束されているわけでも、チーム内での地位が確立されているわけでもない。
 
 ミランもマンチェスター・Uも新監督を迎えたけど、ポジション争いは横一線、ゼロからのスタートなんてことはなく、昨シーズンに不振を極めたふたりには、懸命のアピールが求められる。もっと言えば、戦力として見なされるか、構想外になるかの瀬戸際に立たされていると言える。
 
 プレシーズンだけで巻き返すのは、簡単なことじゃない。ふたりがレギュラーとして開幕を迎える可能性は、決して高くない。でも、欧州の移籍は、ご存知のように、市場が閉まる当日まで活発だ。そして、誰もが自分を評価してくれるクラブ――年俸の高さにせよ、出場機会の多さにせよ――に移籍していく。
 
 それはプロとして当然のことで、それによって玉突き人事のような移籍が起きるのも日常茶飯事だ。本田も香川も今のクラブでアピールを続けたほうがいいのか、移籍したほうがいいのか、早いうちに答を出さなければならない。
 
 日本では、出場機会を求めて移籍することを「逃げる」と捉えがちだし、強豪クラブから下位クラブに移籍することを「都落ち」なんて表現もする。けれど、サッカー選手の選手寿命は長くないし、選手が活躍できるかどうかは監督や戦術との相性にもよる。あるクラブで出番のなかった選手が、別のクラブで輝いたなんて例はごまんとあるんだ。
 
 香川に関してはこれまで、ドルトムントへの復帰やアトレティコ・マドリーへの移籍の可能性が報じられてきたけど、プロたるもの、必要としてくれるチームがあるうちが花。逆に、もし移籍できる機会があったのだとしたら、昨シーズンにあれほど出場機会がなかったのに、なぜ動かなかったのか不思議だよ。スポンサーや放映権、契約上の問題で移籍できなかったんだとしたら、不幸でしかないよね。

次ページ選手にへそを曲げられたら困る日本のメディア。嘘の報道はもうやめよう。

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