残り3分で瓦解したU-20W杯出場の夢… 東京五輪出場を予感させる若きタイ代表の可能性

2018年11月03日 塚越 始

ボール支配率、デュエル勝率は高いものの、課題はボールを奪われた後の切り替えか

準々決勝ではカタールとの死闘を演じたU-19タイ代表。念願のW杯出場はあと一歩で届かなかった。(C) Getty Images

 U-20ワールドカップの出場権を懸けた10月28日の準々決勝、U-19タイ代表は延長戦にもつれた激戦の末、U-19カタール代表に3-7で敗れた。87分までリードしながら……そこで失点を喫したあと集中が切れ、一気に瓦解してしまった。
 
 タイにとって初のU-20ワールドカップ出場の切符は、もう目の前にあった。


 2点先取されながらも粘り強くパスを回して攻め続け、一気に逆転まで持ち込んだ。とりわけ2-2の同点に追いつくサエングトーフォ(2番)の胸トラップからの鮮やかなボレーシュートは、今大会のベストゴールのひとつにも挙げられるだろう。そして80分にプエナングナの逆転ゴールが決まった時は、ベンチからも選手がピッチに駆け込み、歓喜の輪を作った。誰もが勝利を確信していただろう。
 
 ところが、87分に直接FKで同点とされてしまう。そして気落ちして臨んだ延長前半の99分に失点を喫すると集中が切れて、そこから延長だけで4失点を喫した。
 
 この試合のボール支配率はタイが56.1パーセント対43.9パーセントと大きく上回った。デュエル勝率も51.4パーセント対48.6パーセント。地上戦でしっかりボールを動かしながら勝機を探る。そのスタイルは徹底され、世界大会まで"あと一歩"のレベルまで来ていることを証明した。
 
 しかし、空中戦勝率が45.9パーセント対54.1パーセントと下回るのは仕方ないとしても、インターセプト数が12本対25本と差がついた。
 
 むしろ、カタールはそのようにインターセプトを狙い、タイはその術中にハマった面もあった。ボールを奪われたあとに数的優位(または同数)を作られ、カタールのスピードについていけず失点……。延長戦は1点を奪われたことで前掛かりになり、次第に集中が切れた。攻めに意識が傾くと、守備がチーム全体として疎かになるのは気になった点だ。


 そのシチュエーションでボールを奪われた場合、どのようなリスクがあるのか? そういったチーム全体でのマネジメントの共有が今後のテーマになりそうだ。
 

次ページ日本も重要テーマとするGKの人材に苦悩している面も?

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