「ブラジル生まれでイタリア代表の司令塔」ジョルジーニョがアッズーリ復権の鍵を握る

2018年10月10日 片野道郎

選手としてはいわばブラジルとイタリアのハーフ。

新生アッズーリでレジスタを担うジョルジーニョ。PKキッカーも任されている。(C)Alberto LINGRIA

 実に60年ぶりのワールドカップ予選敗退という屈辱の後、今年5月からイタリア代表監督を務めるロベルト・マンチーニは、大胆な世代交代を通じてアッズーリを「ゼロから再構築する」という、困難な課題に取り組んでいる。
 
 就任直後の5~6月に戦ったフレンドリーマッチ、そして9月のネーションズ・リーグという二度の実戦機会を通じて、代表経験の浅い若手を積極的に抜擢し、試合ごとにメンバーを入れ替えながら1人でも多くの選手に経験を積ませてきたのも、2年後のEURO、そしてとりわけ4年後のワールドカップで中核を担うに相応しい人材を見極めようとしているからだ。
 
 しかしその中にあってたった1人、ここまで戦った5試合すべてでスタメンに名を連ねた不動の主力がいる。それが、司令塔ジョルジーニョだ。中盤の底から攻撃のリズムと方向をコントロールするレジスタとして、マンチーニは絶大な信頼を寄せる。アンドレア・ピルロが退いて以来、空席だった司令塔の椅子に相応しい後継者がやっと現われたと考えているのだろう。
 
 本名はジョルジ・ルイス・フレッロ・フィーリョ。ジョルジーニョというニックネームが示す通りブラジル生まれだが、15歳でイタリアに渡ってからはヴェローナの育成部門で育っており、フットボーラーとしてはブラジルとイタリアのハーフと言っていい。当時セリエBのヴェローナで台頭した2012年に、父方の祖先の母国であるイタリアの市民権を取得。アッズーリの一員となる資格を手に入れた。
 
 180センチ・65キロとかなり細身だが、正確極まりない右足のインサイドキック、周囲の状況を素早くそして的確に読み取る戦術眼、絶え間なく動きながらマークを外してパスコースを作り出すダイナミズムを備える。昨シーズンまで3年間に渡ってナポリを率いたマウリツィオ・サッリ監督の下で、4-3-3のアンカーとして「世界で最も美しい」とまで評されたリズミカルなポゼッションサッカーの中核を担い、セリエAはもちろんヨーロッパでも屈指のレジスタという評価を確立した。
 
 今夏はジョゼップ・グアルディオラの要望に応える形で一度はマンチェスター・Cへの移籍が内定したが、その後にサッリをナポリから引き抜いたチェルシーが割り込んで争奪戦に発展。最終的には恩師を追う形でロンドンに渡った。
 

次ページ代表シーンでのキャリアはまだこれから。

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