実はとんでもないハプニングの連続だった… アジア制覇のU-16日本代表が帰国会見で明かしたアジアの洗礼

2018年10月09日 安藤隆人

マレーシアに着いてすぐに4時間のバス待ちも

見事に3度目のアジア制覇を達成したU-16日本代表。来年、世界の舞台へ挑む。写真:佐藤博之

 10月9日、成田空港の到着ゲートからトロフィーを手にしたDF半田陸(モンテディオ山形ユース)をはじめ、U-16日本代表の選手・スタッフが誇らしげな表情で姿を現わした。
 
 U-16アジア選手権で実に6大会ぶり3度目のアジアチャンピオンと、2大会連続となるU-17ワールドカップ出場権を手にしたU-16日本代表が、決戦の地・マレーシアから帰国した。
 
「この試合に勝てばワールドカップ、負けたらチームが解散という経験は彼らにとってあまりないなか、しっかりと戦ってくれた。今大会、選手はいろんなアクシデントがありました。マレーシアに着くなり4時間もバスが来ないとか、次の日の練習場に行ったら違う場所で、そこからたらい回しにあったり。(グループ突破が懸かった)グループリーグ3戦目のマレーシア戦では雷雨で2回試合を延期されて、その度にアップして整えたけど、結局中止になって。その翌日は11時から34~35度の気温の炎天下の中での試合になった……。
 
 決勝も試合前にものすごい豪雨で、試合中もずっと降り続けて、ピッチはぐちゃぐちゃの状態でした。でも、選手たちは逞しくすべてを乗り越えてくれた。このグループ、このチームに一番足りないところだったのが、『逞しさ』と『戦う』ところ。最後の試合なんかは危ないシーンで、3人掛かりでスライディングで身体を張って守るシーンも出てきたし、よく戦ってくれました」
 
 森山佳郎監督がこう振り返ったように、マレーシアでは『アジアの洗礼』の連続だった。だが、スタッフの心配をよそに、選手たちは高い適応能力を見せた。
 
「いきなり空港について、バス待ちとなったのですが、そこでみんなが笑っていて、このアクシデントをみんなポジティブに捉えていました。その時点で『あ、これは行けるんじゃないかな』と思えた。マレーシア戦もキックオフが決まらなくても、ベンチでみんな和気あいあいと話しながらやれていました」と、エースストライカーの西川潤(桐光学園高)が語れば、「アクシデントの時はスタッフの人がいろんな話をしてくれたので助かりましたし、問題なく過ごせました」(半田)と、アクシデントにもまったくめげないチームとしての一体感があった。
 
「こちら側としては選手たちに『団結』を働きかけてきましたが、いつも明るく、みんなでバスの中で歌いながら試合会場に乗り込んだり、ホテルに帰ったり。4時間待ちの時もスタッフは『どうなっているんだ?』と言っていたけど、選手たちのほうが平気な顔をしていた。逞しくなっているなと。優勝した後はみんなバスの中で、大声で歌って帰る姿を見て、かなりいい雰囲気になったなと思いました」(森山監督)
 

次ページ戦いは新たな舞台へ。来年10月の本大会へ巻き返しを狙うメンバーも

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