再び降格圏へ沈んだ名古屋…J1残留のために求められるのは「独りよがりではない自分たちらしさ」だ

2018年10月09日 今井雄一朗

カウンターへの対策がまるで感じられず、D・オリヴェイラと永井に気持ちよく走られた

名古屋守備陣は永井(11番)のスピードに対処できなかった。(C)SOCCER DIGEST

 [J1リーグ29節]名古屋1-2FC東京/10月7日/豊田ス

 名古屋が3連敗で再び降格圏に落ち込んだ。台風による二度の試合中止で他チームより消化試合は少ないものの、その相手が札幌とC大阪という上位陣であることを思えば現状に余裕など持ってはいられない。

 夏に怒涛の7連勝を記録したのはもちろん実力の賜物であり、その内容においても素晴らしいものがあったが、この1か月ほどはどうにもその力が発揮できていない。いや、発揮させてもらえていないという印象が強い。

 ハードワークと乾坤一擲のカウンターに賭けてきた長崎戦と、同じスタイルの"上位互換"として叩きのめされた川崎戦、そして今節のFC東京との戦いはどちらかといえば前者に属する負け方だった。名古屋の封じ方はここにきて、相手チームの研究が進んできている気がする。

 FC東京はさらに力強かった。前線から激しくプレスをかけ、名古屋のビルドアップを前進させない守備が光った。自陣に入られれば分厚いブロックを敷いて名古屋のパスワークを跳ね返し、ディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑のリーグ最速ツートップをひたすら走らせた。前半はそこで生まれた決定機をものにできずにスコアレスで折り返したが、手応えは十分につかんでいたに違いない。

 逆に名古屋は前半で決定機を生みだせず、不動の右サイドバックである宮原和也が開始8分で負傷交代し、スクランブル態勢での戦いを強いられもしていた。ただでさえエドゥアルド・ネットが出場停止で和泉竜司を代役に立てての戦いだったが、これで和泉が右サイドバックに入ることになってゲームプランも台無しに。右太もも裏の肉離れと見られる宮原の代役探しは、今後の戦いにも暗い影を落とす。
 
 それでも何とかせめぎ合う展開に持ち込んでいた前半に比べて、ややオープンな試合になった後半は名古屋の悪癖が首をもたげた。打ち合いは得意なだけに攻撃に人数をかけたはいいが、カウンターへの対策がまるで感じられず、前半以上にD・オリヴェイラと永井に走られた。

 古巣対決でもあった丸山祐市は「後ろが対応できれば問題にはならなかったし、責任を押し付けても意味はないので」と割り切っていたが、それにしても無防備だった。攻撃に行けば行くほど持ち場を離れる金井貢史のポジションを目がけて放たれるパスに守備陣はスライドしての対応を取らざるを得ず、65分にはついに失点。ここはD・オリヴェイラの個人技が光ったが、その3分後の永井の得点はまさにカウンター、という形で叩き込まれた。

 前半から優位に立たれていた永井と中谷進之介のマッチアップに対するカバーもなく、ゴールはバーに当たって吸い込まれるスーパーなものでも、それを引き出してしまった感は強い。あれだけゴールへのアプローチを繰り返させれば、プロのFWは1本くらい決めてくる。それぐらいに名古屋はFC東京の攻撃陣を気持ちよく走らせてしまっていた。
 

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