サウジ戦の試合巧者ぶりは評価に値!日々進化するU-21日本代表は、すでに大会初戦とは別物だ

2018年08月29日 清水英斗

ピンチを乗り切った日本は遠藤渓太を投入。この采配が流れを変えた

後半立ち上がりの猛攻をしのぐと、徐々に試合は日本ペースに傾いた。写真:徳丸篤史

 アジア大会・準々決勝、U-21日本代表はU-21サウジアラビア代表に2-1で勝利を収めた。準決勝は中1日で29日、U-23UAE代表と対戦する。

 中東のチームとの試合は、90分を意識しながら粘り強く戦うことが、勝利を手繰り寄せる。なぜなら後半、相手が先に崩れ始めるからだ。

 この試合も同様だった。1-1で迎えた後半キックオフ後の10分間は、まさにサウジアラビアの猛攻。1トップの9番ハルーン・カマラを起点に、左ウイングのアブドゥルラフマン・ガリーブ、右ウイングのアイマン・アルクライフを含めたアタッカー3人が、前半よりも距離を近くし、ワンツー・コンビネーション、あるいはセカンドボールを拾った2次攻撃からチャンスを量産した。

 この時間帯、日本も奪ったボールを運び切れず、回収されてしまい、サウジアラビアの分厚い攻撃を許すシーンが続いた。それによって、日本の空いた中盤に、相手が良い距離感で仕掛けてくる。ガリーブ、アルクライフに正面からシュートを打たれた場面は、特に危なかった。
 
 しかし、このピンチを乗り切った日本は57分、長沼洋一に代えて、遠藤渓太を右ウイングハーフに投入する。この采配が流れを変えた。日本は推進力を上げ、サウジアラビアを押し返すことに成功。ゲームコントロールを取り戻せば、こっちのものだ。1トップのカマラに対しては、大南拓磨と立田悠悟がしっかりと対応できている。単発のロングカウンターを食らっても、大きな危険はない。押し込まれた状況を脱することが肝心だった。
 
 すると逆に、サウジアラビアに異変が見えてきた。攻め疲れした両ウイングが、戻って来ない。前半は4-5-1で両ウイングが中盤に下がり、スペースを消してカウンターを狙っていたが、その守備に綻びが生じた。結果として日本はサイドから攻めやすくなり、遠藤を投入した効果が、より大きくなった。
 
 さらに日本は60分、旗手怜央に代えて三好康児を投入している。この選手は日本が押し込まれた時間帯では相手のフィジカルの前に埋没しがちだが、日本がゲームコントロールを握っていれば、重要なプレーができるタイプ。狭いスペースに侵入し、仕掛けのアクションを起こせる三好は、遠藤に続く交代としてなお、効果的だった。
 

次ページサウジ戦の日本は試合巧者だったが、上を目指すならここで満足はできないだろう

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