Jクラブからのオファーでプロ入りを決意!! 前橋育英のエース・榎本樹が総体準Vの2年生エースから受けた刺激

2018年08月29日 安藤隆人

榎本は代表合宿で1学年下のストライカーの凄さを肌で感じることができた

前橋育英の榎本は前線の起点として機能。自ら1ゴールも挙げ、勝利に貢献した。写真:安藤隆人

「いいか、向こうの10番はボールの無いところでこういう動きをしているぞ、よく観ているように」
 
 前橋育英のエースストライカー・榎本樹は、プリンスリーグ関東10節の桐光学園戦を前に、相手の試合映像を観てのスカウティングの中で、山田耕介監督にそう言われていた。
 
『向こうの10番』こそ、U-16日本代表であり、先のインターハイでチームを準優勝に導いた、桐光学園のエースストライカー・西川潤のことだった。
 
「西川君とはちょっとだけ代表で一緒にトレーニングをして、凄く技術の高い選手だし、ちょっと話もしたのですが、2年生なのにすごくいろいろ考えていて、自分よりも一枚も二枚も上手だなと感じました。彼から学ぶことも多いなと思いました」
 
 先週のSBS杯において、榎本は初めて年代別代表となるU-18日本代表に選出された。この合宿に西川もトレーニングパートナーとして参加。そこで2人は接点を持った。
「ボールが無いところでの動き出しなどが上手くて、どうやったら点を獲れるかというパターンが頭の中にいろいろある選手だなと感じました」
 
 榎本は1学年下のストライカーの凄さを肌で感じることが出来た。さらにU-18日本代表の影山雅永監督からも、「もう少し裏の抜け出しだったり、動き出しの部分が少ないので、もっと増やしてほしい」という指摘を受けており、より西川の動きは彼の中で参考になった。
 
 そして、プリンス関東の後期開幕戦となった桐光学園との試合が始まると、榎本は得意の空中戦で競り勝つだけでなく、足下にもボールを呼び込んでからパスを散らすなど、FW室井彗佑、石井陽向、高橋尚紀の快足アタッカー陣の特徴を存分に引き出した。
 
 21分にはMF秋山裕紀のミドルパスを受けた室井が、鮮やかなゴールを突き刺して先制に成功。36分に西川に突破を許し、PKを献上して同点にされるが、前半終了間際に再び室井が鮮やかなシュートを沈めて勝ち越し。
 
 51分、西川に同点ゴールを浴びるなど、白熱の攻防戦が続く中でも、榎本はロングボールが飛んで来ても、いつもなら頭で落とすところをジャンプから胸トラップで収め、そこから味方に展開するプレーを見せ、攻撃のリズムを作り続けた。
 
 76分、右サイドでボールを受けた榎本がそのまま仕掛けてシュート。強烈なシュートは桐光学園の1年生GK北村公平にセーブされるが、こぼれを途中出場のMF森隼平が沈めて、前橋育英が三度勝ち越した。
 
 もう一度同点に追いつきたい桐光学園に対し、78分には榎本がとどめを刺す一撃を突き刺す。左スローインを得ると、森がゴール前にロングスローを放り込む。これを頭一つ抜け出した榎本がヘッドで押し込んで4点目。この試合初めての2点差リードにしたことで、試合の趨勢は決した。90分には室井がハットトリックとなるゴールを決めて、前橋育英が5−2で勝利を手にした。
 

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