【総体】あと一歩で逃した全国制覇…"天国から地獄"を味わった桐光学園の主将が誓った冬のリベンジ

2018年08月14日 安藤隆人

「頼む!追いついてくれ!」桐光学園の望月駿介は、心の中で願いながら全力疾走した

キャプテンとして桐光学園をまとめた望月(5番)。声を張り上げ、身体を張って守備に尽力したが……。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[インターハイ決勝]山梨学院2‐1桐光学園/8月13日/三重交通G

 あと3分を凌げば良かった。
 そうすればこれまでの偉大な先輩達ですら成し遂げられなかった全国制覇を手にすることが出来た。
 
 だが、勝負は無情だった。一本のロングボールが放り込まれた直後、掴みかけて来た栄冠がするりとその手をすり抜けて行った。
 
「頼む!追いついてくれ!」
 
 桐光学園のCBであり、キャプテンの望月駿介は、心の中でそう何度も願いながら全力疾走していた。しかし、僅かに届かなかった。目の前でかつての仲間に無情な同点ゴールを決められた。
 
 それは桐光学園の1点リードで迎えた後半アディショナルタイム5分の出来事だった。桐光学園のエース・西川潤が抜け出し、GKと1対1になった。このビッグチャンスを決めれば優勝がほぼ確定するシーンで、西川の放ったシュートは山梨学院GK市川隼のファインセーブにあった。
 
 そして右サイドにこぼれたボールを、山梨学院のDF保坂紘生が前線へ大きく蹴り込む。ボールは望月のもとに飛んで来た。だが、同時にパワープレーで前線に上がって来ていたDF大石悠介に競り勝てず、そのまま大石と入れ替わられる形で突破を許してしまった。
 
「突破されて、すぐに『最後は純真に来る』と思ったので、ファーに走り込もうとしていた純真を目掛けて全力で戻ろうと思った」
 
 望月が言う『純真』とは、山梨学院の10番でエースストライカーの宮崎純真。望月と宮崎は中学時代にFC多摩ジュニアユースのチームメイトで大の仲良し。また、望月とCBコンビを組む内田拓寿とMF阿部龍聖もFC多摩ジュニアユース出身で、決勝前夜には3人が宮崎と連絡を取り合い、お互いの健闘を誓っていた。
 
「折り返しが入った時に、ニアの選手がスルーかフリックをして、最後は純真にボールが行くと確信していた……」
 
 誰よりも宮崎の凄さを知っているからこそ、望月はかつてのチームメイトを目掛けて全力で走った。まるでロシア・ワールドカップのベルギー戦の昌子源(鹿島)のように、心の中で祈りながら。
 
 だが、昌子同様に届かなかった。望月が思っていた通り、大石の折り返しをニアでFW川野大成がスルー。望月の目の前で宮崎に決められてしまった。
 

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