イニエスタの恩恵を受ける男――古橋亨梧が見逃せない理由

2018年08月12日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

待望の瞬間は56分にやってくる

初めて共演した磐田戦でもイニエスタと好連係を披露。今後もさらに良くなるはずだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ21節]神戸2-1磐田/8月11日/ノエビアスタジアム神戸
 
 この夏、神戸に加入した新戦力で最も注目すべきは、言うまでもなく元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタだろう。
 
 しかし、そのイニエスタの天才的な閃きと創造性溢れるパスの恩恵を受けて、ブレイクしそうな新加入アタッカーがいる。それが岐阜から完全移籍で加わった古橋亨梧だ。
 
 コアなサッカーファンならその名を聞いたことはあるかもしれないが、一般的に知名度はさほど高くないかもしれない。中央大を卒業して岐阜でプロキャリアをスタートさせた古橋にとって、今季はプロ2年目。J1でプレーするのは、神戸に移籍してきたこの夏からなのだ。
 
 もっとも、前所属での岐阜では、すでに素晴らしい活躍を見せてきた。ルーキーイヤーの昨季にJ2の全42試合に出場して6得点すると、今季前半戦は、26試合で11得点をマーク。スピーディなドリブルとパンチのあるシュートはJ2トップクラスで、J1クラブへのステップアップは必然だったと言える。
 
 岐阜を去る際には、クラブの公式ホームページを通じて「日本を代表する選手になるためにもJ1でプレーすることが必要と強く思い、今回の決断に至りました」と、その覚悟を示していた。
 
 神戸デビューは20節のFC東京戦だった。後半の始めからピッチに立つと、持ち前のドリブルを遺憾なく発揮。とりわけエリア中央を突破してミドルシュートを放った65分のプレーが印象的で、攻め手を欠いていたその日の神戸にとっては、唯一インパクトを残したのがこの古橋だったと言える。
 
 おそらく吉田孝行監督に与えた期待感も大きかったに違いない。だからこそ、続く磐田戦では先発に抜擢された。
 
 そして、古橋は見事に起用に応えてみせるのだ。イニエスタ、ルーカス・ポドルスキ、ウェリントンらとの息の合ったパスワークで磐田守備陣を困惑させ、度々ゴールを襲った。
 
 待望の瞬間は56分にやってくる。イニエスタ→大﨑玲央→ウェリントンとダイレクトでつながったパスに反応してDFの背後に抜け出すと、GKとの1対1を冷静に制してネットを揺らしたのだ。

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